企業が絶対に知っておくべき「モバイル・テクノロジ」のトップ10(前編)

企業のCIOやIT担当者、さらには製品・サービスの企画担当者などにとって今、最も重要なテクノロジといえる「モバイル」――。あらゆる企業が2015~2016年に自社のレーダーで捉えておくべきモバイル・テクノロジのトップ10を、ガートナー最上級アナリストのニック・ジョーンズ氏が解説した。

経営スピードや従業員の生産性向上、あるいは新たな事業機会の創出など、現代の企業にとって、モバイルは不可欠の要素となっている。では、モバイルを的確に活用し、競合他社に差を付けるためには、数あるモバイル関連技術の中でも、とりわけ何に注目しておく必要があるのだろうか。

米ガートナー リサーチでバイスプレジデント 兼 最上級アナリストを務めるニック・ジョーンズ氏は、「モバイル・テクノロジのトップ10:2015年~2016年」と題して10月29日に講演を行った。

ガートナー リサーチ バイスプレジデント 兼 最上級アナリスト ニック・ジョーンズ氏
ガートナー リサーチ バイスプレジデント 兼 最上級アナリスト ニック・ジョーンズ氏

トップ10を選ぶにあたっては、ジョーンズ氏は次の5つを条件にしたという。

– もっと良いモバイルアプリケーションを作成
– アプリケーションのデリバリと運用を改善
– 新たなビジネス機会を創出
– 説得力のあるエクスペリエンスを実現
– アプリケーション/インフラストラクチャのパフォーマンスを向上

これら5つの少なくとも1つを満たすモバイル・テクノロジがトップ10に選ばれている。それでは、企業は2015~2016年にかけて、どんなモバイル・テクノロジを注視しなければならないのか。1つずつ見ていくことにしよう。

<1>マルチプラットフォーム/マルチアーキテクチャのモバイル開発ツール

モバイルの重要性は高まるばかりだが、企業にとって厄介なのは、その一方で「モバイルの世界が以前より複雑になっている」(ジョーンズ氏)ことである。

「以前はWindowsというプラットフォームしかなかった。しかし現在は、これに加えて、iOS、Androidという3つのプラットフォームに少なくとも対応しなければならない」

しかも、複雑性が増しているのはプラットフォームだけではない。アプリケーションのアーキテクチャについても言えることだ。ネイティブアプリ、HTML5アプリ、その2つを組み合わせたハイブリッドという大きく3つのバリエーションが存在している。すなわち、「3×3が必要になるということだ」。

こうした複雑性を回避するのに役立つのが、マルチプラットフォーム/マルチアーキテクチャに対応したモバイル開発ツールである。マルチプラットフォーム対応のモバイル開発ツールを利用すれば、Windows、iOS、Android向けのアプリをそれぞれ別々に開発するといった無駄をなくすことができる。

ただ現在はまだ、残念ながら大きな不都合が残っている。それは、こうしたモバイル開発ツールが200余りも市場に出回っていることだ。「これらのほとんどは生き残らないだろう。だから、企業は戦術的な選択をしなければならない」

モバイル開発ツールについて、長期的な観点に立った戦略的決定を行うことは現時点では難しく、今は「せいぜい1~2年」を見据えた戦術的決定しかできないという。

<2>HTML5

前述の通り、モバイルアプリには、ネイティブ、HTML5、ハイブリッドの3タイプのアーキテクチャがある。これらのいずれが主流になるかはまだ分からないが、ジョーンズ氏が強調したのは「HTML5は、皆さんのモバイルの将来に必須」ということだ。

例えば、純粋なネイティブアプリと純粋なHTML5アプリの間には、Web表示にだけHTMLを使うハイブリッドアプリから、ほとんどHTMLだがJavaScriptでネイティブAPIを呼び出すハイブリッドアプリまで幅広い選択肢があり、「HTML5を無視して成功することはない」からである。

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