SPECIAL TOPICオール光の理想と現実を橋渡し “専用網から始めない”APNの現実解

オールフォトニクス・ネットワーク(APN)は現在、新たな専用網を敷くことを前提としている。だが、既存サービスとは別に専用網を持つことは、通信事業者には大きな負担だ。この壁を打破する策としてAPRESIA Systemsが提案するのが「Apresia FON」だ。法人VPNやFTTH、モバイルといった既存サービスを同じ基盤に重畳収容することで、APNの普及を目指す。

通信事業者の実情に寄り添う「段階的なAPN導入」

Apresia FONにはもう1つ、APNへの投資と移行を容易にする目的もある。

描くのは、3段階の移行シナリオだ。まずAORを導入し、FTTHやVPNといった既存サービスを収容して運用を始める。次に、空いたポートにAPNコンポーネントを挿し、APNサービスを小規模に開始。需要の拡大に合わせて、段階的にAPNの比率を高めていく。

これを可能にしているのが、Apresia FONが専用装置ではないという点である。ベースはあくまで汎用のスイッチ、ルーター、伝送装置だ。「光コンポーネントを挿さなければ、一般的なルーターとして使える」(渡辺氏)。これにより、APN向けに高価な専用装置を導入するのではなく、既存投資の延長線上でスモールスタートできる。投資リスクの最小化が可能になる。

(左から)APRESIA Systems SE本部 エグゼクティブディレクターの瀬戸康一郎氏、製品企画部 主管技師の渡辺純平氏と渡邉賢一氏

(左から)APRESIA Systems SE本部 エグゼクティブディレクターの瀬戸康一郎氏、製品企画部 主管技師の渡辺純平氏と渡邉賢一氏

時刻同期を同じ基盤に載せられる点も見逃せない。AORはPTPに対応し、光トランシーバーから直接時刻信号を出力するため、途中に電気装置を挟むことで生じるクロックドメインの断絶を避けられるという。GNSSに依存しない高精度時刻配信のニーズにも応え得る。

Apresia FONは、NICTの「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業」への採択を受けて開発が進む。2026年5月には大手通信事業者との取り組みを公表。XR Opticsを活用した実証実験を行っており、「すでにPoCが可能な状態で、通信事業者による検証を待つ状況だ」(渡辺氏)。

段階的なAPN導入を志向するため、「イノベーションとしてのステップは小さいかもしれない」と瀬戸氏。だが、「既存のサービスを収容しながらAPNへマイグレートしていける」と、現場のニーズや課題に寄り添った道筋を示せたことに自信を見せる。オール光の理想へ向かう道のりに、まさに現実的な一歩を刻む提案と言えよう。

本研究成果は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の助成事業(JPJ012368G70501)により得られたものです。

<お問い合わせ先>
APRESIA Systems株式会社
SE本部 製品企画部 渡辺純平
TEL:03-6369-0400
URL:https://www.apresia.jp/

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