ナレッジスイートは2006年に設立されたビジネスソリューション開発会社。グループウェアとSFA(営業支援)/CRM(顧客管理)を統合した同社の主力サービス「Knowledge Suite」は、3800社を超える企業で導入されている。最近はスマートフォンやタブレットを活用したソリューションに力を入れており、その1つが位置情報と連携したSFA/CRMサービス「GEOCRM.com」である。GEOCRMは今春にリリースされたばかりだが、すでに1000ユーザー以上の大型案件を複数抱えるなど、好調な出足を見せているという。
同社で代表取締役社長兼CEOを務める稲葉雄一氏は、「ワークスタイル変革Day 2014」において、このGEOCRMを軸に位置情報とウェアラブルデバイスを活用した新時代のワークスタイルの姿を展望した。
ナレッジスイート 代表取締役社長兼CEO 稲葉雄一氏 |
商談メモの情報は「企業の宝」
GEOCRMは、地図上に顧客情報や営業報告、記録写真などの情報を格納できる営業支援アプリケーションだ。
基本的な利用方法は次の3ステップ。(1)スマホの画面に自動表示された最寄りの顧客から訪問先を選択、(2)訪問先に到着したら開始ボタンを押すことにより、位置情報と業務の開始時間を記録、(3)用件が終わると終了ボタンを押し、担当者名や写真、TODO、メモなどの報告事項を記入する。
GEOCRM.comの概要と使い方 |
GEOCRMの導入効果は、地図上にマッピングされた顧客情報によって、外回りの営業マンなどの行動を支援できるだけにとどまらない。「商談メモは『企業の宝』だ。しかし、個人のスマホや手帳に記録されるこれらの情報は、その一部が上司に報告されるだけで、企業としてはほとんど活用されていない。会社がスマホを支給し、これらの情報を会社の資産として集約・活用できるようになる」と稲葉氏は強調する。
例えば、GEOCRMに集約された情報をもとに、優秀な社員の行動やノウハウを見える化。そのほかの社員の教育=ノウハウの平準化に活かすことなどができるという。
GEOCRM.comを導入すれば、企業にとって宝となる商談メモなどの情報を会社資産化できる |
また、稲葉氏は「商談で出会ったすべての人の顔と名前を覚えられる人はいない。人間の脳のメモリーは生涯1TBと言われており、情報のほとんどは、時間が経つとこぼれ落ちていく」と説明。そのうえで、「人間の脳を補完する『脳の記憶補助装置』を実現し、社員1人ひとり、そして会社全体をパワーアップすることがGEOCRMの開発の大きな狙いだった」とした。
GEOCRMでは集約された情報を、業務システムに受け渡したり、ビッグデータとして解析できるようにすることも計画中しているという。
社員の知識を蓄積し続ける「脳の記憶補助装置」となるGEOCRM.com |
GEOCRMは、システムの高速性や使いやすさも大きな特徴となっている。まずは「超高速ジオコーティング」だ。住所データから緯度・経度を割り出し、地図上にマッピングする処理には大変な時間を通常要するが、GEOCRMでは1万件の処理を最短2分半程度で行えるという。
また、住所から割り出された緯度・経度がずれていた場合、スマホの画面上で簡単に補正しデータを更新できる「経度緯度補正技術」、報告時には高精度の位置情報、移動中は低精度にしてスマホのバッテリー消費を抑える「受信電波の強弱制御」など、独自の特許取得&出願中技術によって、ユーザーエクスペリエンスを高めている。
これらが評価され、ルート営業を行う飲料・食品メーカーをはじめ、製薬会社のMR(医薬情報担当者)、家電製品などの訪問設置業者、コピー機の保守・メンテナンスなど、フィールドワークを行う多様な業種・業態の企業で活用され始めているという。