製品選定時のポイントは?
ここまで見てきたように、市場には様々な60GHz帯無線LANソリューションが存在するが、ユーザー企業や自治体はどのような基準で製品を選べばいいのだろうか。そのポイントの1つがコストだ。
例えば、電車-ホーム間で映像などをやり取りするユースケースでは、移動する車両を追従するビーム制御機能などが必要になるが、ハイテクインターではこうした機能をあえて搭載していない。「固定拠点間の通信に必要な機能のみに絞り込むことで、コストパフォーマンスの高い製品として提案できると考えている」と新井氏。同氏によれば、V1000のようなエントリーモデルは20万円程度から導入可能だ。
また、ユースケースによっては60GHz帯無線LANほどの性能が不要な場合も少なくない。「『Ceragon社のEtherHaul 600TXを検討している』という相談をいただき、実際に条件を詳しく伺ってみると、別の無線製品の方が適しているケースもある」とHCNETの芝川氏。多様なベンダーの製品を取り扱うHCNETや理経などに相談し、用途に応じた最適な無線通信を選定することも重要になる。
さらなるスループット向上へ
今後、60GHz帯無線LANはどう進化していくのか。理経の竹内氏は、「チャネルボンディングや効率的な変調方式の採用により、スループットはさらに向上する余地がある」と展望する。ハイテクインターの松井氏も、「現時点でニーズは限定的だが、通信速度の向上に向けた技術開発は進んでいくだろう」と見る。
通信距離については飛躍的な向上は見込みにくいものの、「これまで1km程度だった通信距離が、すでに2~3kmまで伸びてきている。今後は4~5km程度まで延伸する可能性はある」とHCNETの芝川氏は予測する。
当面は映像伝送が主な用途となるが、AIとの連携による新たな導入事例も生まれてきている。今後、通信距離や通信速度のさらなる向上が進めば、60GHz帯無線LANの適用領域はより一層広がっていきそうだ。
[月刊テレコミュニケーション 2026年8月号の記事を再構成]









