Wi-Fi Directは、無線LANアクセスポイントを介さず、スマートフォンやタブレットなどのWi-Fi対応デバイス同士を直接接続することができる技術。2010年に認定プログラムが導入された。
Wi-Fi Direct認定製品の数は6000以上に及び、出荷台数も2014年に20億に達すると予測されている。Wi-Fi Alliance マーケティング担当 ヴァイス・プレジデントのケリー・デイヴィス・フェルナー氏は「ほとんどのWi-FiクライアントがWi-Fi Directをサポートしている」と順調に普及している現状を説明した。
Wi-Fi Direct対応デバイスの普及状況と今後の予測。右グラフは、明るい緑色の部分がWi-Fi Directをサポートしないデバイスを示している |
そして、この日紹介されたのが、Wi-Fi Directの普及をさらに促進するための機能拡張だ。従来、Wi-Fi Directによるコンテンツの送受信、印刷、そしてDLNAやMiracastの利用においては、「発見、接続、実行」の3ステップが必要だったという。しかし今回の機能拡張により、ユーザーは「シングルステップで発見、接続、実行を行えるようになり、ユーザーエクスペリエンスが向上する」とのこと。
また、開発者にも恩恵をもたらす。Wi-Fi Directを利用したアプリケーションを開発するための「Wi-Fi Direct Toolkit」が提供され、Wi-Fi Directに対応したプリンターなどが以前より容易に開発できるという。
Wi-Fi Directの機能拡張の概要 |
「IoTはWi-Fiにとって見逃せない機会」
機能拡張により、接続性が向上したWi-Fi Direct。そのWi-Fi Directが見据える新たなマーケットがIoT(Internet of Things:モノのインターネット)である。「IoTは、Wi-Fi Directにとって、またWi-Fiにおいても決して見逃せない」とフェルナー氏。IoTとスマートホームにより創出されるWi-Fi市場の規模は、今後急速に拡大していくという。
Wi-Fiは、IoTの技術要件を満たすという |
IoTにWi-Fiが特に適している理由として、フェルナー氏が挙げた点は次の3つだ。まずは「すでに何十億と使われているスマートフォン/タブレットを統合していけること」。2点目は、「レガシー互換の長い歴史があること」。冷蔵庫などの家電製品の場合、10年に1回しか買い替えないということも普通なわけだが、Wi-Fiは古い機器との相互接続でもすでに実績がある。
そして最後はセキュリティやプライバシー。「もちろんIoTにおいてもセキュリティは非常に重要だが、Wi-FiはWPA2を中心に高度なセキュリティを提供している」とした。
なお、会見では「IoT向けでは、Bluetoothと競合するのではないか?」という質問も出たが、「Wi-FiとBluetoothは補完的な関係」というのがフェルナー氏の答え。「それぞれ解決できる課題は異なり、事実、Wi-FiとBluetoothの両方を組み合わせたチップもよく目にする。IoTでも両方が使われていくだろう」と語った。