「SDNは“トライアル期”から“実用期”に入ったと肌で実感している」。NECは2014年8月27日、エンタープライズ向けSDNソリューション事業に関する記者説明会を開催。その会見の席上、同社 ソリューションプラットフォーム統括本部 本部長代理の北風二郎氏はこう述べた。
NEC 執行役員 福田公彦氏 | NEC ソリューションプラットフォーム統括本部 本部長代理 北風二郎氏 |
世界初のOpenFlow対応製品を発売するなど、SDN市場をリードしてきたNEC。同社のSDN製品はすでに国内外200システム以上で実稼働しているというが、このように“実用期”に入ったSDN市場の勢いをさらに加速させるため、今回発表したのが4つの強化施策である。
NECのSDNソリューションの導入実績 |
SDNと従来型ネットワークに両対応のハイブリッド製品を投入
1つめは、SDNと従来型ネットワークの両方に対応したスイッチとルーターである。
これまでNECはSDN専用のスイッチしか提供してこなかった。しかし、これにより、“SDN Ready”のネットワーク機器を従来型ネットワーク用に導入しておき、しかるべきタイミングでSDNコントローラを追加することで、ネットワークのSDN化を図ることができる。
SDNに対応するのは、企業向けLANスイッチの「UNIVERGE QXシリーズ」とWANアクセスルーターの「UNIVERGE IXシリーズ」だ。UNIVERGE QXシリーズは、本日からまず3モデルがSDNに対応。順次、他のモデルのSDN対応も進めていくという。
企業向けLANスイッチ「UNIVERGE QXシリーズ」の概要 |
また、UNIVERGE IXシリーズのSDN化は9月中の予定。北風氏がWANアクセスルーターのSDN化のユースケースの一例として挙げたのは、2系統のWAN回線の有効活用である。
WANアクセスルーター「UNIVERGE IXシリーズ」の概要 |
「バックアップ回線を遊ばすことなく、両方をActive-Activeで使える。また、メイン回線には重要度の高いアプリケーション、バックアップ回線にはそうではないアプリケーションを割り当てることが可能だ。さらに、メイン回線に障害が起こった場合には重要なアプリケーションのトラフィックをバックアップ回線に流し、止めていい通信は止める。こうした運用を人手ではなく、SDNの仕組みを使って完全に自動化できる」
会見では、グループ会社のNECネクサソリューションズがマネージド型インターネットVPN「Clovermet」において、UNIVERGE IXシリーズのSDN機能を使ったサービスを2015年中にリリース予定であることも明らかにされた。