売上情報や商品カタログをiPhoneアプリ化
さらに次のアプリやサービスも導入している。まずは、日々の売上情報を共有するためのアプリだ。フィーチャーフォン時代から、日々の売上情報はメールで全社員に配信されていたが、ただのテキストメールだったので閲覧しにくく、あまり見られていなかったという。それが、iPhoneアプリでグラフィカルに売上やシェア情報を見られるようになった。
左がiPhoneアプリの売上情報画面、右がフィーチャーフォン時代から配信されていた売上情報メール。見やすさが圧倒的に向上しているのが分かる |
また従来、営業員は紙の商品カタログを持ち歩いていたが、これもiPhoneアプリ化。自社製品情報をすべて掲載しているほか、アプリの画面上に表示されるバーコードから発注もできるようになっている。
営業員と取引先間、営業員と内勤スタッフ間の主なコミュニケーション手段となっているのは電話だが、アドレス帳については「KDDI SMARTアドレス帳」を活用している。
これは、クラウド型のアドレス帳サービス。クラウド上でアドレス帳データを統合管理し、社員間で共有できるため、管理を効率化できる。ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンの場合、全社員の連絡先をKDDI SMARTアドレス帳で共有しており、簡単に最新のアドレス帳データをインポート可能だ。
その一方で、共有しないほうがいいアドレス帳データは、共有しないようにできる。会社・共有・個人のアドレス帳を別々に管理し、左右スクロールで簡単に表示切替できるためだ。ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンでは、取引先の連絡先は個人アドレス帳に登録し、社員間では共有しないようにしている。
会社・共有・個人アドレス帳をスマートフォンやPCなどで利用できるクラウド型アドレス帳サービス「KDDI SMARTアドレス帳」 |
日本が世界のモデルケースに
冒頭で紹介した通り、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・グループで全社員にiPhoneを導入したのは日本法人が初。「今後、スマートフォンが世界中に普及していくと考えられるなか、日本がモデルケースになっていきたいと思っています」と大内氏は口にする。
ただ、同社が目指すのは、あくまでも“テクノロジー中心”のiPhone活用ではなく、“人中心”のiPhone活用だ。「スマートフォンやIoT、ビッグデータなどの言葉を様々なところで耳にし、ITへの期待や可能性を感じていますが、あくまで主役は人です。どのようなテクノロジーや情報が生産性や創造性を高められるかを考え、当社の競争優位につなげていきたいです」と大内氏。
大内氏と清氏のもとには今、「iPhoneをこんなふうに使えないか」といった声が多く届いているという。iPhoneの全社導入から、まだ約半年――。そうした声に応え、iPhoneで社員の生産性をさらに向上させていくための挑戦は、まだ始まったばかりである。