「我々“ネットワーク屋”の視点で見たWebRTCの本質は、セッションを張る技術であるということです。Web系技術と親和性の高いかたちでエンドツーエンドのコネクティビティを実現する技術として認識しています」と話すのは、NTT ネットワーク基盤技術研究所 ネットワーク技術SEプロジェクトの日紫喜徹也氏だ。そうした捉え方もふまえ、WebRTC利用の方向性として次の2つを考えているという。
NTT ネットワーク基盤技術研究所 ネットワーク技術SEプロジェクト 日紫喜徹也氏 |
1つは、キャリア網の機能とWebサービスとを連携させる仕掛けとしてWebRTCを用いること。もう1つが、WebRTCのP2P通信の仕組みを使って、インターネット上で端末間を直接つなぐ新たな通信プラットフォームを作るというものだ。どちらも、WebRTCを使ったサービス提供基盤を用意し、外部のサービス事業者がそれを利用するためのAPI等を提供する、BtoBtoC型のビジネス展開を想定している。
前者は、通信キャリアの既存資産であるネットワークの機能をWebサービス事業者に活用してもらう糸口にするのが狙いだ。
現在のNGNでも、外部のアプリ/サービスから網機能を利用するためのインターフェースとしてSNI(アプリケーションサーバ・網インタフェース)を用意しているが、SIPベースのセッション管理を行うそれは、Web系のアプリ/サービス開発者にとって扱いやすいものとは言えなかった。
そこで、WebRTCを使って音声・ビデオ通話の呼制御を行う機能などを備えたサービス基盤を用意し、これを外部から利用するためのAPIを提供することにより、Webサービスとの連携をしやすくする。ひかり電話の呼制御サーバー等の開発を行うNTT ネットワークサービスシステム研究所(NS研)で、その研究開発が進められている。