「ボイス&ビデオというトラディショナルなサービスも大きく変わってきている」。こう切り出して講演をスタートさせたのは、NTTコミュニケーションズ 取締役 ボイス&ビデオコミュニケーションサービス部長の丸岡亨氏だ。
丸岡氏が指摘する通り、スマートフォンやブロードバンドの普及などに伴い、電話をはじめとする企業コミュニケーションの世界は、大きな変貌を遂げている。しかも、これは現在進行形の変化だ。グローバル化や労働人口の変化などを背景に、柔軟なワークスタイルの重要性が一層高まるなか、今後ますますコミュニケーションインフラの変革は加速していくだろう。
それでは、この変革期において、NTT Comはどのような考えのもと、企業向けの音声サービスなどに取り組んでいるのだろうか。丸岡氏は、「ワークスタイルの変革を実現するNTT Comのコミュニケーションサービス展開について」と題して、同社の戦略を語った。
NTTコミュニケーションズ 取締役 ボイス&ビデオコミュニケーションサービス部長 丸岡亨氏 |
世界159カ国・地域で展開するクラウド型UC「Arcstar UCaaS」
丸岡氏によるとボイス&ビデオコミュニケーションサービス部では、次の3つのキーワードを念頭に事業展開しているという。
1つめのキーワードは「クラウド化」だ。自社では設備を持たず、クラウド上のサービスを利用するトレンドは、コミュニケーションの領域にも来ている。また、いつでもどこでも、さらにどのデバイスでも、社内にいるのと同じようにコミュニケーションできる環境を従業員に提供するうえでもクラウド化は有効だ。
2つめは「IP化」だ。「特に電話については、従来のPSTN系のIP化をどんどん進め、コストダウンや効率化を図っていく流れになっている」。最後の3つめは「グローバル化」。企業のグローバル化が進むなか、コミュニケーション基盤もグローバル化させたいというニーズが高まっている。
そしてNTT Comでは、これら3つのキーワードを具現化したサービスをすでに提供している。その1つが、「Arcstar UCaaS」だ。
Arcstar UCaaSの概要 |
UCaaSとは、Unified Communications as a Serviceの略。ユニファイドコミュニケーション(UC)基盤をクラウド型で提供するサービスが、Arcstar UCaaSである。シスコのUC製品がベースになっており、電話、IM、ビデオ、プレゼンス(在席確認)などのUC機能を備えている。
Arcstar UCaaSの大きな特徴の1つは、日本・米国・英国の3カ所にサーバーが設置されており、159カ国・地域で利用できる点だ。クラウド化、IP化に加えて、グローバル化も実現済みのサービスというわけだ。
また、丸岡氏は「Web電話帳」の機能も強調する。これは、電話帳をクラウド化したもの。社内外の連絡先をWeb電話帳で統合管理することで、いつでもどこでも速やかにコミュニケーションできるようになる。
セキュリティの観点からも、Web電話帳は効果的だ。Web電話帳を利用すると、連絡先や通話履歴などは手元のデバイスは残らず、すべてクラウド上に保管される。このためデバイスを紛失した際の情報漏えいリスクを大幅に削減できる。