いまやクルマ社会を支える重要なインフラの1つになったといえるコインパーキング(時間貸駐車場)。急増のきっかけは、2006年6月の道路交通法の改正だ。監視員による駐車違反の取締りがスタートし、ニーズが急拡大した。
「タイムズ」ブランドで知られる業界最大手、パーク24グループの場合、全国約1万3000の時間貸駐車場を運営している。
時間貸駐車場はいくつかのタイプに分かれるが、その多くは「ロック式」と呼ばれるタイプの無人駐車場だ。駐車すると、各駐車スペースに設置されたクルマ止め(フラップ板)がせり上がりロックする。そして、料金を支払うとフラップ板が下がる仕組みである。
パーク24グループでもその大半の約1万はロック式の無人駐車場だが、これほどの数になると当然、日々さまざまな問題も発生する。その解決に一役買っているのがWiMAXだ。
カメラは30分で設置可能
パーク24グループで駐車場で起きた問題の調査などを担当しているのがタイムズコミュニケーションの調査管理室だ。駐車場でのトラブルの代表例というと、フラップ板などの機器トラブル、落雷や積雪といった自然災害等がある。
「駐車機器の稼働状況などはデータで送られてくるため、何か異変が起きていることは遠隔から分かります。しかし、現場で本当に何が起きているのかを確認する手段はありませんでした。お客様に安心・安全を提供するには、これをきちんと把握する必要があります」と調査管理室長の浅井雅彦氏。
タイムズコミュニケーション 調査管理室長 浅井雅彦氏 |
ゲート式の大規模駐車場ではかなり以前からカメラを導入していたが、ロック式駐車場にはそれまで未導入だったという。そこで約2年前からロック式駐車場へのカメラ導入に動き出す。
ただ、全国約1万のロック式駐車場のすべてにカメラを取り付けるのは大変だ。それで出てきたアイデアが、「移動式カメラ」だった。問題が発生している駐車場にスタッフが向かい、カメラを設置。問題の原因や正常稼動への復帰などが映像で確認できたら取り外し、別の駐車場へ“移動”していく。
移動式カメラを実現するにあたり、浅井氏がこだわったのは、設置スピードである。「ある駐車場の調査が終わっても、またすぐ別の駐車場で問題が発生します。ですから、クイックに設置できるかどうかが重要でした」
図表 ワンボディ化が特徴の移動式カメラとその中身のイメージ図 |
その答えとして辿り着いたのがワンボディ化だった。カメラ本体など、必要な機器を1つの筐体にまとめ、さらに電源ケーブルも1本化した。「家電のようにコンセントを挿せば、すぐ使えるようにしたかったのです」。移動式カメラは約30分で設置できる。