ネットワーク設計・調達もセルフサービスの時代に ―― NTTコムがNFVサービスを世界展開

NTTコミュニケーションズは2014年5月29日、NFV(Network Function Virtualization)技術を活用したネットワークサービスを世界196カ国/地域で提供開始すると発表した。同社のネットワークサービス「Arcstar Universal One」のオプションサービスとして7月から海外で、8月から日本国内で販売を開始する。同社・ネットワークサービス部クローズドネットワークサービス部門・部長の大井貴氏は発表会見で、「サービスプロバイダとして世界で始めてNFVサービスを提供する」と話した。

ネットワークサービス部クローズドネットワークサービス部門・部長の大井貴氏

NFVとは、従来は専用アプライアンスで提供されてきたネットワーク機能(ファイアウォールやVPN、WAN高速化など)をソフトウェア化・仮想化してクラウド型で提供するものだ。これにより、ユーザー企業は、ネットワーク機器の導入、構築・運用をすることなしにこれらの機能を利用できるようになる。サーバーやストレージ等のクラウド化と合わせて、ネットワークもクラウドサービスとして利用できるのだ。今回のサービスは、NTTコミュニケーションズが2014年1月に株式取得した米Virtela Technology Services Incorporated社のNFV技術・サービスをベースとしている。

NFVを活用したクラウド型ネットワーキングサービスの概要

ユーザーは、Webブラウザ上で操作できるポータル画面で、自ら必要なネットワーク機能を選択して設定・変更が可能だ。いわゆる“セルフサービス型”で、ネットワークをより柔軟に調達、利用できるようになる。機器導入に伴う初期費用が抑えられることに加えて、納期の短縮、運用オペレーション費の削減といった多様な効果が期待できるという。大井氏によれば、「今までは数週間かかっていたWAN高速化が、数分で導入、使えるようになる」。

NFVによるコスト削減効果

もう1つ、重要な点は、IP-VPNやファイアウォール、WAN高速化といったネットワーク機能の利用が「従量課金」型になることだ。必要な機能を必要な量(ユーザー数や帯域)だけ契約し、「不要になれば自ら解約できる」(大井氏)。ネットワーク設計・構築の形態が、機器を導入して構築していた従来の形態から大きく変わることになる。

今回、提供を始めるサービスは、「クラウド型アプリケーション高速化」「クラウド型ファイアウォール」「クラウド型IPSEC VPNゲートウェイ」「クラウド型SSL VPN」の4種類。グローバル規模のネットワークを構築・運用している企業をターゲットに販売していくという。

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