「ネットワーク機器のコモディティ化はチャンス」――クラウド時代の米NETGEARの戦略とは?

変革期にあるICT市場。変革を促しているドライバーはクラウド等だが、こうしたトレンドも追い風に業績を伸ばしているベンダーがある。米NETGEARだ。米国の企業向けネットワーク機器市場において、売上ベースでは第3位、台数ベースでは第1位のポジションにある同社のパトリック・ローCEOに話を聞いた。

低価格の理由はマーチャントシリコンの調達スケール

ローCEOはインタビュー中、コストパフォーマンスの良さとラインナップの広さをNETGEARの特色として繰り返し強調したが、一体なぜ競合他社を上回るコストパフォーマンスとラインナップを実現できるのだろうか。ローCEOは、NETGEARの開発方針から説明する。

ネットワーク機器ベンダーの中には、自社開発したASICを強みの1つとしているベンダーも多い。対してNETGEARのネットワーク機器はすべて汎用チップ――ブロードコムやインテル、マーベル、クアルコムなどのチップベンダーから調達した、いわゆる「マーチャントシリコン」を100%採用している。これ自体は珍しいことではないが、NETGEARの特徴はこれらチップベンダーと共同開発を行っていることだ。「だから、製品開発をスピーディに行え、ラインナップも広くできる。これが、NETGEARの特別な開発の仕方だ」

チップベンダーがNETGEARと共同開発を行うのは、彼らにとって同社が最大の顧客の1社であるからだ。「NETGEARは米国の企業ネットワーク市場において、金額ベースでシスコ、ジュニパーに次ぐ第3位のポジションにある。さらに台数ベースで見た場合には、我々がナンバー1になる」

シスコやジュニパーは自社開発したASICを中核にしているため、チップベンダーからすれば、NETGEARが調達するマーチャントシリコンのスケールの大きさは一層際立つ。だから、共同開発の要望にも応えるし、NETGEARは低コストにマーチャントシリコンを調達できるというわけだ。

NETGEAR CEOのパトリック・ロー氏
NETGEAR CEOのパトリック・ロー氏。NETGEARの創業者の1人で、2002年より現職を務める

他方、例えばSDNもその1つだがネットワーク機器のオープン化の流れなどを背景に、マーチャントシリコンへのシフトは今後さらに進展し、これに伴いネットワーク機器のコモディティ化もますます加速すると見られている。

「ネットワーク機器のコモディティ化は、NETGEARにとってチャンスになるのか?」――。この問いに対するローCEOの答えは、もちろん「その通りだ」というもの。コモディティ化のトレンドは、NETGEARのユーザー層にも変化を及ぼしている。従来の中小企業にとどまらず、3000~4000名規模の中堅企業へとNETGEARの市場は広がり始めているという。

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