「ネットワーク機器のコモディティ化はチャンス」――クラウド時代の米NETGEARの戦略とは?

変革期にあるICT市場。変革を促しているドライバーはクラウド等だが、こうしたトレンドも追い風に業績を伸ばしているベンダーがある。米NETGEARだ。米国の企業向けネットワーク機器市場において、売上ベースでは第3位、台数ベースでは第1位のポジションにある同社のパトリック・ローCEOに話を聞いた。

ユーザー企業とベンダーの双方が今、クラウド時代への対応に追われているが、中小企業をメインターゲットにネットワーク製品やストレージ製品を提供する米NETGEARも例外ではない。「中小企業向けの製品は、すべてクラウド向けに移行している」と、同社のパトリック・ローCEOはクラウドをキーワードに製品の開発・強化を進めていると説明。3つの具体例を紹介する。

1つめは、エンタープライズ向けのストレージ製品「ReadyDATAシリーズ」が備えるクラウドベースのレプリケーション機能だ。ある拠点に設置されたNASのデータを、クラウド経由で別の拠点にあるNASへとバックアップし、災害時などにリカバリーできる。

RD5200
ReadyDATAシリーズの「RD5200」は12ベイを搭載。24ベイへの拡張ユニットも用意されている

2つめは、中小企業やSOHO、コンシューマなど向けのNAS「ReadyNASシリーズ」に搭載されたReadyCLOUD機能だ。クラウド上の管理インターフェースからNASを管理したり、NAS内のデータにアクセスできる機能で、特に効果を発揮するシーンの1つがモバイルである。社外からスマートフォン/タブレットなどを使って、NAS内に保存されたデータすべてにアクセス可能だ。手軽に自社専用のクラウドストレージを実現できるわけだ。

RN51662E
ReadyNASシリーズの「RN51662E」。これはデスクトップ型だが、ラックマウント型もラインナップする

そしてクラウドへの取り組みの3つめの例としてローCEOが挙げるのは、無線LANコントローラー機能のクラウド提供だ。無線LANコントローラーとは、複数の無線LANアクセスポイント(AP)を集中制御するための機器。NETGEARは現在、1台で最大50台までのAPを管理できる無線LANコントローラー「WC7520」を提供しているが、今後、無線LANコントローラーの機能をクラウドサービスとしても提供する予定だ。

10GbEスイッチの成長率は700%

NETGEARはストレージや無線LAN、イーサネットスイッチ、Wi-Fiルーターなど幅広い製品群を持つが、なかでも今、最も急成長しているカテゴリの1つが10GbEスイッチだという。「金額ベースでは前年比700%の成長率だ」とローCEOは話す。

10GbEスイッチは各社から提供されているが、ローCEOが強調するのは次の点だ。「我々はアンマネージプラスからシャーシ型まで、業界で最も広い10GbEスイッチのラインナップを有している。特に10GbE対応のアンマネージプラス・スイッチについては、NETGEAR以外に提供しているベンダーはないはずだ」

XS708E
10ギガを8ポート搭載するアンマネージプラス・スイッチ「XS708E」。税別価格は19万円と、20万円を切っている

アンマネージプラス・スイッチとは、VLANやQoS、リンクアグリゲーションなど、搭載する機能を最小限に絞ることで低価格を実現したスイッチのこと。NETGEARの10GbE対応アンマネージプラス・スイッチは、税別20万円以内で購入できる。

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