<連載>ミリ波のチカラ -超高速通信がもたらす新しい体験-[第11回]KDDIが考えるミリ波の新ユースケース3選、ソニー・TBSとも連携

前回(第10回)は、ミリ波のポテンシャルを最大限に引き出すため、効率的なエリア展開を実現するKDDIの新型「ミリ波中継機」の特徴と、新宿エリアで検証した実力を紹介した。今回のテーマは、そのKDDIが考えるミリ波のユースケース。ソニーやTBSと連携した用途開拓の取り組みをレポートする。

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ミリ波の普及に向けて、エリア拡大だけでなく、多彩なユースケースの創出も重要な課題だ。現在国内で利用できるミリ波対応端末は限られており、その普及促進には、実際に人々の生活や社会の中でミリ波を活用した新たな価値の提供が必要不可欠だ。

長距離移動前に動画を高速DL

KDDIでは、そうしたミリ波のユースケース創出の検討・実証にも取り組んでいる。その1つが「長時間移動前の映像コンテンツ高速ダウンロード」での活用である(図表1)。

長距離移動時、お客さまが車内で過ごす上での体験価値向上として、動画ストリーミング視聴のニーズが高まっている。しかし、飛行機は高速・大容量な通信環境が整っておらず、鉄道でもトンネルや地下などで通信が一時的に不安定になることがあるなど、動画ストリーミング視聴を快適に行う通信環境を広範囲にすぐに整えることは難しい。

図表1 長時間移動前の映像コンテンツ高速ダウンロードのイメージ

図表1 長時間移動前の映像コンテンツ高速ダウンロードのイメージ

こうした課題に対し、空港や駅で乗車前にミリ波を活用して動画コンテンツを高速にダウンロードしておくことで、必要なコンテンツを事前に取得できる。移動前の準備時間を大幅に短縮しつつ、走行中の車内でもオフラインで快適にコンテンツを楽しめる、より快適で効率的な移動体験を実現できる。特に、ビジネスパーソンや観光客にとっては、ストレスなく高品質なコンテンツを楽しめる新たな価値創出が期待される。

2025年10月には「KDDI SUMMIT 2025」にて、JR東日本、Netflixと連携し、鉄道事業におけるさまざまなシーンを想定したミリ波活用に向けて、Netflixのドラマ全10 話(1.4GB)を超高速でダウンロードできる「1話1秒ダウンロードデモ」を実施した。この取り組みが実用化されれば、駅や空港といった混雑エリアでも、大容量の映像コンテンツを高速にダウンロードでき、移動中でもオフラインで快適にコンテンツを楽しめる未来が実現する。

柴山昌也(しばやま・まさや)
KDDI所属。2015年よりKDDI総合研究所にてミリ波の特性分析に従事。2019年にKDDIに帰任し、2022年から現在までグループリーダーとしてミリ波エリアを効率的に拡張する中継技術の開発を主導

小林龍司(こばやし・りゅうじ)
KDDI所属。2019年より5Gに関わる基地局新機能の要件定義や新技術検討を担当。その後先進技術の検討・開発・評価の業務に従事。主に高周波数帯域であるミリ波の技術検討を行い、KDDIのミリ波活用検討を推進中

相楽昌希(さがら・まさき)
KDDI所属。これまで2.3GHz帯周波数共用や28GHz帯ミリ波利活用推進などの業務に従事。周波数利用効率の向上を通じたモバイルネットワーク高度化に取り組み、どこでも高速・高品質な通信環境の実現を目指している

櫻井博貴(さくらい・ひろき)
KDDI所属。西新宿や新宿駅でのミリ波中継器実証をはじめとする、28GHz帯ミリ波の新技術検討・開発などの業務に従事。5Gの高度化と新技術の普及を促進し、より高速で快適な通信環境の実現を目指している

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