シエナ副社長 ソレンセン氏「海底ケーブル産業の現在と未来 オープンケーブル移行とルート多角化で変容」

25年超にわたって海底ケーブル業界に携わり、以前には商船隊船長の経歴も持つシエナ グローバル海底ケーブル販売担当副社長のトーマス・ソレンセン氏。業界を熟知する同氏に、激変する市場の展望を聞いた。

米シエナ Vice President,Global Submarine & International MOFN Salesを務めるトーマス・ソレンセン(Thomas Soerensen)氏

米シエナ Vice President,Global Submarine & International MOFN Salesを務めるトーマス・ソレンセン(Thomas Soerensen)氏

――帯域需要の激増と光伝送技術の進化、地政学リスクの影響と、海底ケーブル産業はこれまでにない大きな変化にさらされています。

ソレンセン 帯域幅の需要は力強く、ある調査では国際的な帯域幅使用量は3年で倍増しています。ハイパースケーラーのAIインフラ投資は2023年から2025年に50%増加しました。ハイパースケーラーに加え、シエナが“ネオスケーラー”と呼んでいるAI企業やコンテンツプロバイダーの国際帯域幅に占める割合は約80%にも達しています。

また、地政学的な課題も着実に影響を及ぼしています。

海底ケーブルシステムは世界で550以上が稼働中または建設中で、総延長は150万km超、約1600の陸揚げ地点を結んでいます。ケーブルの設計寿命は25年と非常に高い信頼性を誇っていますが、地政学リスクから新設が難しい地域ではケーブル寿命をさらに延ばすための技術的支援を求める声が挙がっており、新設についてはルート選定の重要性が高まっています。一方、技術革新が、商業的なライフサイクルを短縮させている複雑な状況でもあります。

建設中の98%がオープンシステム

――1波1Tbps超伝送をはじめ技術は目覚ましく進化しています。ケーブルシステム自体はどう変化していますか。

ソレンセン 新設ケーブルの98%が“オープンシステム”として製造、敷設されるという変革が起きています。

従来はケーブル、中継機・分岐装置といったウェットプラント(海底に敷設される設備)から陸揚げ局で使われる伝送機器(光海底端局装置:SLTE)まで一括してケーブルオーナーが購入する「ターンキー方式」でしたが、現在はウェットプラントのみをまず購入し、サービス開始準備が完了する(RFS)約1年前にSLTEを別途調達するようになりました。

海底ケーブルの敷設は開始からRFSまで通常4年かかるので、開始時点でSLTEも決めてしまうと、サービス開始時点には陳腐化してしまいます。RFSの直前まで調達を待つことで、急速な技術進歩に対応し、最新世代の伝送技術を駆使できるようになります。

ただし、課題もあります。

NEC、米サブコム、仏ASN(Alcatel Submarine Networks)のウェットプラントベンダーと、シエナなどのSLTEベンダーが混在するマルチベンダー環境が一般的になりました。選択の自由度が高まる反面、伝送性能を引き出すための最適化プロセスが複雑化しています。

――海底ケーブル市場におけるシエナのビジネスはどのような状況ですか。

ソレンセン 私たちは2014年に、SLTEに初めてコヒーレント伝送技術を導入しました。Omdiaの調査では2018年以降、シェアNo.1が続いています。2025年のシェアは54%でした。

RFS直前にSLTEの調達が行われるため、我々は「CIFケーブル」の動向を注視しています。CIFとはContractin Force(契約有効)のことで、建築主とケーブルオーナー間で契約が交わされ、まもなくサービスインするケーブルのことです。

トーマス・ソレンセン(Thomas Soerensen)氏

米シエナ Vice President,Global Submarine & International MOFN Salesを務めるトーマス・ソレンセン(Thomas Soerensen)氏。ノキア/アルカテルとサブコムでターンキー海底通信ケーブルシステムの営業、事業開発、プロジェクト管理など上級管理職を歴任。2013年から2016年まで、国際ケーブル保護委員会(ICPC)の理事および執行委員会メンバーを務めた

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