<連載>宇宙AIデータセンター ネットワークが来る!IOWNが拓く宇宙光通信 NTTが狙うゲームチェンジ

NTTが、光電融合技術をベースにした「宇宙通信用IOWNデバイス」の開発を進めている。宇宙には不可欠の省エネ・小型化と超高速通信を両立。無線から光へのシフトを主導し、宇宙通信の世界でゲームチェンジを狙う。

宇宙と地上のネットワークを連携させる「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク※」を核とした宇宙事業ビジョンを2022年に策定したNTT。2024年には、スカパーJSATとの合弁会社Space Compassをはじめとするグループ各社の関連技術/サービスを統合する宇宙ブランド「NTT C89」を発表し、それ以後は統一した方向性で宇宙ビジネスを推進している。

※宇宙統合コンピューティング・ネットワーク2021年にNTTがスカパーJSATと共同で発表した構想。HAPS、静止軌道衛星、低軌道衛星を統合し、それらと地上を光無線通信ネットワークで結び、分散コンピューティングによって様々なデータ処理を高度化する宇宙の新たなICTインフラ基盤構築を目指す

NTTはなぜ宇宙を目指すのか。

目的は、単に通信ネットワークを拡大することに留まらない。宇宙事業開発のトップであるNTT 研究開発マーケティング本部 アライアンス部門 宇宙環境エネルギー担当 統括部長の木村吾郎氏は、次の3つを理由に挙げる。

NTT 研究開発マーケティング本部 アライアンス部門 宇宙環境エネルギー担当 統括部長の木村吾郎氏

NTT 研究開発マーケティング本部 アライアンス部門 宇宙環境エネルギー担当 統括部長の木村吾郎氏

宇宙ビジネス推進の3つの理由

1つは、ネットワークの分散化によるレジリエンス強化だ。海底ケーブルの安全保障リスクや地上ネットワークの災害脆弱性を踏まえ、自然災害等に影響されない宇宙ネットワークの構築を目指す(図表1)。

図表1 NTT宇宙ビジネス展開の状況

図表1 NTT宇宙ビジネス展開の状況

NTTは、Space Compassとドコモが運用するGEO(静止軌道)衛星に加えて、HAPS(高高度プラットフォーム)も自社運用による商用化を計画している。「LEO(低軌道)衛星通信では米国のStarlinkやAmazon Leo(旧:Kuiper)も活用するが、なるべく自ら運用できるネットワークとして保有することで、日本のレジリエンス強化に貢献したい」(木村氏)

2つめは、通信と観測の融合による産業イノベーションである。

LEOコンステレーションやHAPSを使えば、携帯電話網の不感地帯にも通信サービスが提供できる。ただし、「それだけで産業が活性化するかというと難しい」と同氏。衛星画像データを用いたモニタリングサービス等の「観測ビジネスを通信とセットにすることで、産業DXにつなげる」と狙いを話す。

しかも、通信事業と違って「観測ビジネスはグローバルでできる」。海外にも様々なビジネスを展開するNTTデータやNTTドコモビジネスのリソースを活用する。

そして3つめが、「IOWN技術によるグローバルなゲームチェンジ」だ。

宇宙空間で使われている通信はほとんどが電波によるもの。「これを光に変える際、地上で培ったIOWN技術を応用する」ことで、光通信への転換をNTTが主導し、グローバル市場での優位性を確立しようという狙いだ。

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

FEATURE特集

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。