KDDIが3.5GHz帯LTE-Advancedのキー技術「C/U分離」の実証実験

トラフィック対策の有力手段である小セル基地局の展開で問題となるのが、頻繁なハンドオーバーの発生による通信品質の低下だ。その解決策となる「C/U分離技術」の実証実験をKDDIが報道関係者に公開した。

マルチユーザーMIMOの効率を50%アップ

今回の公開実験では、C/U分離以外のKDDIのLTE-Advancedに向けた技術開発の取り組みも紹介された。その1つが、マルチユーザーMIMOの拡張技術で、KDDI研究所が開発した。

これは干渉情報を端末から基地局に効率よくフィードバックすることで、マルチユーザーMIMOのデータスループットを50%以上向上させられるという技術。KDDIではこの技術の標準化を、3GPPリリース13で目指している。

マルチユーザーMIMOのスループットを50%アップさせる新技術のデモ
マルチユーザーMIMOのスループットを50%アップさせる新技術のデモンストレーション

もう1つ、LTE-Advanced時代の技術としてアピールされたのが、4K(3840×2160)品質の動画伝送システムだ。通常では約20Mbpsの回線速度が必要なH.265/HEVC準拠の動画コンテンツ(30フレーム/秒)を、KDDIが開発したエンコード側の高画質化制御技術によって、15Mbps以下の回線速度で送れるようにしたという。今回のデモンストレーションでは、前述の3.5GHz帯の小セル基地局を介して実際に4K映像が送れることが示された。

渡辺氏は「H.265の受信側は標準仕様として規定されているが、送信側には改良の余地があり、事業者にとって大きな差別化ポイントになり得る」という。

公開実験ではこの他にも3.5GHz帯での小セルネットワークの構築をシミュレートできるソフトウェアや電波伝搬の状況を把握して可視化する測定ツールなども展示され、2016年の3.5GHz帯LTE-Advancedの実用化に向けた準備が着々と進められていることがアピールされた。

電波の見える化ツール
電波の見える化ツール。内蔵された96個のアンテナで電波を受信し、到達方向や強さを推定する。写真撮影機能も搭載しており、受信データと重ね合わせて電波の伝搬状況を可視化することができる

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