一次産業を救うモデルケースに
これら設備の運用管理は、DACOMが東京本社から行っている。Ubiquiti製品は、ローカルに設置するゲートウェイ装置がLANスイッチやAP、カメラなど全機器の情報を集約。管理者はインターネット経由でアクセスして管理、設定変更等が行える。ネットワークの状態もカメラ映像も、入退室のログまでリモートで確認が可能だ。
そのため、「現地スタッフにはネットワークの専門知識が不要」と今井氏。現地スタッフはカメラ映像を確認する程度だという。同氏は牛深以外にも複数の地方創生案件を手掛けており、「運用費が制約される自治体や地方産業の大きな助けになる」と説明する。

日本デーコムサービス 天草支店 支店長の今井勉氏
宮内氏もこの点を「地方活性化の取り組みにおいて非常に重要」と評価する。これまでも常に、IT人材の確保や、運用を担うSIerに払う出張コストが課題になってきたからだ。実際に本施設でも、Wi-Fi対応カメラを追加する際、現場でケーブルを接続するだけで遠隔から設定が完了した。
牛深地域では今後、この運用モデルを地元水産業の通信インフラ整備に横展開する考えだ。Ubiquiti製品を提供したソネットも同町へ進出し、その取り組みに参加する。宮内氏は「特に、通信キャリアのモバイル網も使えない養殖漁場の通信環境整備は喫緊の課題だ。DACOMとソネットの協力のもと、水産業のデジタル化に向けて通信インフラの整備から始めていきたい」と話す。
通信環境の整備は、地方経済デジタル化の第一歩だが、ここでつまづく地域は全国に少なくない。牛深で成功例を作れれば「一次産業を救うモデルケースになり得る」と今井氏。ソネット取締役営業部長の小林康英氏も「天草市の高校を視察したが、地元に残りたいという若者が多い。現地の雇用創出にも貢献したい」と力を込める。

ソネット 取締役営業部長の小林康英氏
牛深の取り組みへの注目度は高く、DACOMとソネットは11月に熊本県、天草市とも通信インフラ整備やデジタル化に関する協業に合意した。西の果てから始まるこの取り組みがどんな成果を得るか、注目される。












