数滴の水だけで通信可能 漏水検知など用途は無限大
IoTが求められる現場では、電源確保が難しいケースも多くあるが、水さえあれば通信できるZETA対応の自己発電型液体検知センサーも登場する。「自ら水から発電するセンサーです。電源は一切不要で、数滴の水だけで発電・発信できます」と開発元の藤倉コンポジットの高橋昌樹氏は紹介する(図表3)。
図表3 自己発電型液体検知センサーの仕組み

すでに他の通信規格では実績があり、建物設備や透析装置の漏水検知などに活躍しているという。漏れた水、あふれた水がセンサーに触れると発電して情報を送信。ZETAと合わせて、通信インフラも電源もない場所でも低コストでセンシングが実現できるのだ。
物理的な力が加わると、センサー内の水が漏れ出して発電するセンサーも現在開発中だ。墜落したドローンの位置把握、土砂災害の検知、僻地での積雪検知など、様々な用途が見込め、「可能性は無限大です」と高橋氏は話す。
複数ビルの群管理を実現 他の無線規格とのコラボも推進
IoTによるセンサーデータの収集は、あくまで手段だ。その目的は、集めたデータを利活用して業務にイノベーションを起こし、人手不足をはじめとした課題を解決することにある。
テクサーが提供するスマートビルプラットフォーム「BUILDICS」は、まさにデータ収集の“次のステップ”となるデータ利活用への移行を実現するソリューションだ(図表4)。複数のビルの群管理、中央監視を可能にする。
図表4 スマートビルプラットフォーム「BUILDICS」の構成

「既存のBACnet(ビル設備の制御・監視用プロトコル)の情報や、ZETA等で後付けした無線センサーなどの情報を集約し、複数のビルをリモート監視できるので、必要な人手を削減できます。建物の3Dモデルと紐づけ、どこで漏水が発生するかを可視化したり、各設備のこれまでの修繕履歴を3Dマップ上で確認することも可能です」
同社の朱強氏はこう述べたうえで、国内で数百店舗を展開する企業とBUILDICSの導入プロジェクトが進んでいることを明かす。
既存の有線の監視設備と無線センサーを統合管理できるBUILDICSが好例の1つだが、ZETA以外の通信規格とも組み合わせながら、イノベーションを推進する予定だという。
「エンドユーザーは、どんな通信規格を使っているかには、あまり関心がありません。重要なのは、どんな価値を提供してくれるかです。そこで今後は、ZETAを軸にしながらも、衛星通信や他のLPWAなど、様々な無線通信との連携をする予定です」(諸井氏)
つまり、今回紹介した3つのテクノロジーミックスは、イノベーションの始まりに過ぎない。さらに多様なテクノロジーと化学反応を起こしながら、ZETAアライアンスは幅広い分野のDXを牽引していくことになりそうだ。
<お問い合わせ先>
ZETAアライアンス
URL:https://japan.zeta-alliance.org/









