自動運転を支える「V2X」の検討推進
3つめは、V2X(Vehicle to Everything)通信の検討推進である。
自動運転については、AI技術の急速な高度化等を背景に開発等が進展しており、これを支える通信環境の確保や通信インフラの整備が急務とし、国際的に検討が進められている5.9GHz帯(5850~5925MHz)のうち「5895~5925MHzの最大30MHz幅をV2X通信向けに割り当てる方向で、必要となる各種取組を推進する」とした。
具体的には、5888~5925MHzについて、既存無線局の周波数移行を進めるとともに、V2X通信向けの割当てを可能とすることや既存無線局に関する使用の期限を定めるなどの周波数割当計画の変更を2025年度中を目途に実施。特定周波数変更対策業務によって、既存無線局の周波数移行を全国に展開する。

V2Xの検討推進
また、政府戦略等を踏まえて、東北自動車道等における技術実証や他の通信とも連携した面的な通信環境の検証、隣接システム等との周波数共用検討など、5.9GHz帯V2X通信システムの技術基準等の整備に向けた技術的検討を進める。
4つめは、非地上系ネットワーク(NTN)の高度利用だ。

NTNの高度利用
高高度プラットフォーム(HAPS)については、固定系リンク及び移動系リンクに関する無線システムに関して、他の無線システムとの周波数共用に係る技術的条件等を検討し、2025年度内を目途に制度整備を行う。
衛星通信に関しては、700MHz帯を利用する衛星ダイレクト通信システムの導入に向けて、既存無線システムとの周波数共用に係る技術的条件等について検討を進め、2026年中を目途に制度整備を行う。
また、高度約600kmの軌道を利用するKa帯の非静止衛星通信システムの導入のため、既存無線システムとの周波数共用に係る技術的条件等について検討。2025年度内を目途に制度整備を実施する。
6G/Beyond 5G推進へ
5つめの公共業務用周波数の有効利用については、デジタル変革時代の電波政策懇談会において、国が使用する公共業務用無線局(電波利用料の減免を受けているもの。)のうち、「他用途での需要が顕在化している周波数を使用するシステム」と「アナログ方式を用いるシステム」について、2023年度以降、当面の間、電波の利用状況の調査を毎年実施することとされた。
対象の公共業務用無線局については、調査・評価結果を踏まえて引き続き、廃止・周波数移行・周波数共用・デジタル化等の取組を推進していくとしている。
重点的取組の6つめには、上記以外の主な周波数再編、移行等の推進が挙げられている。

その他の主な周波数再編・移行等の推進
2029年5月末のサービス終了が発表されたデジタルMCA陸上移動通信システムについては、代替可能なシステムへの移行を促進。同時に、移行により開放される周波数において新たな無線システムを早期に導入できるよう、移行期間中からの周波数共用による段階的導入の可能性も含め、三次元測位システム及び800MHz帯広帯域小電力無線システムの技術的条件等について、2025年度中を目途に制度整備を行う。
高度MCA無線通信システムについても、2027年3月末にサービスを終了するとの発表があったことを踏まえ、代替可能なシステムへの移行を促進するとともに、サービス終了後の周波数について利用意向調査を実施し、2025年度中を目途に活用方策を決定する。
最後が、6Gを含むBeyond 5Gの推進だ。
総務省が2024年8月に公表した「AI社会を支える次世代情報通信基盤の実現に向けた戦略 – Beyond 5G推進戦略2.0 -」に基づき、(1)次世代移動通信システム(6G)、(2)オール光ネットワーク(APN)分野、(3)NTN分野等の各種取組を推進する。
(1)6Gに関しては、Sub6・ミリ波、Stand Alone(SA)の活用を拡大。WRC-27においてIMT特定が議題となる周波数帯(4400~4800MHz、7125~8400MHz、14.8~15.35GHz)について、諸外国の動向、具体的な利用ニーズ、既存無線システムとの共用可能性等も踏まえつつ、IMT周波数の特定に向けた検討を加速する方針だ。また、RANの高度化や更なる高周波数の利活用等に向けた研究開発等を推進することも明記されている。
(3)NTNに関しては、HAPSの国内導入のための制度整備に加え、研究開発/海外展開等を支援。非静止衛星通信システムのサービスの円滑な国内導入のための制度整備に加え、研究開発を支援する。
また、産学官の連携や業界横断の活動について、XGモバイル推進フォーラム(XGMF)による我が国の移動通信システムの社会実装や次世代移動通信に向けた国際連携等を推進する。














