7機体制で「みちびき」はさらに精度向上 スマホ単独でも“1m級”実現へ

高精度な測位を実現する準天頂衛星システム「みちびき」が、着々と進化している。5号機の打ち上げを3週間後に控えた11月18日、みちびきの運用・開発に関わる内閣府、三菱電機、JAXA、NECの各者が集まり、その取り組みと展望を語った。

cm級測位は省力化に貢献 スマホでも「1m級」の精度実現めざす

みちびきのcm級の測位精度に大きく貢献しているのが三菱電機が提供する「センチメータ級測位補強サービス(CLAS、シーラス)」だ。CLASはみちびき独自の測位補強サービスで、GPS等の測位衛星で生じる誤差をみちびきが配信する補強信号によって補正し、水平6~12cm程度の精度を実現するもの。

「センチメータ級測位補強サービス(CLAS)」概要

「センチメータ級測位補強サービス(CLAS)」概要

利用にはCLAS対応受信機が必要になるが、無償であり登録等は不要だ。三菱電機 宇宙総合システム部 CLAS利便性向上サブプロジェクトマネージャーの早瀬夏子氏は「“放送型”の高精度測位サービスは世界初」と話した。すでに農機の走行支援やドローン、除雪、自動運転支援等に用いられており、自動化・省人化に貢献しているという。今後は7基体制となるみちびきや欧州のGalileo衛星など、補正対象となる衛星を増やすことでより可用性を高める計画だ。

三菱電機 宇宙総合システム部 CLAS利便性向上サブプロジェクトマネージャーの早瀬夏子氏

三菱電機 宇宙総合システム部 CLAS利便性向上サブプロジェクトマネージャーの早瀬夏子氏

一方、スマートフォンのように補正信号を受信しない端末の精度向上を目指すのが、JAXAが開発を進める高精度測位システム(ASNAV、アスナブ)だ。みちびきのシステムに衛星間測距機能と衛星-地上間測距機能を加えることで、現状5~10m程度の精度が1m程度に向上するという。

高精度測位システム(ASNAV)概要

高精度測位システム(ASNAV)概要

この精度の実現には、常時4基のみちびきを捕捉することが必要になる。かつ、すでに打ち上げられている衛星のうち3基にはASNAVを可能にする機能が搭載されていないので、今後の新規衛星の打ち上げによって、「11基体制に向け、精度が徐々に上がっていく」(JAXA 高精度測距システムプロジェクトチーム プロジェクトマネージャの松本暁洋氏)ことになる。

JAXA 高精度測距システムプロジェクトチーム プロジェクトマネージャの松本暁洋氏

JAXA 高精度測距システムプロジェクトチーム プロジェクトマネージャの松本暁洋氏

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