2013年10月30日~11月1日に東京で開催されたプレス向けイベント「エリクソン・ビジネス・イノベーションフォーラム(EBIF)2013」の技術セッションでエリクソンの技術戦略担当副社長のエリック・エクデン氏が、同社のサービスプロバイダー向けのSDN(Software-Defined Network)やクラウドなどに関する戦略を説明した。
SDNを中心とした戦略を説明するエリクソン副社長兼技術戦略責任者のエリック・エクデン(Erik Ekudden)氏 |
SDNは、ネットワークの構成や設定、機能などを動的にソフトウェアから集中制御することで、ネットワークの運用管理性やリソースの利用効率を向上するもの。現状では主にデータセンターや企業内ネットワークで利用が始まっているが、エリクソンはこれをモバイルネットワークに適用し、データセンターと一括制御することでモバイルとクラウドの融合を実現しようとしている。また、将来的にはネットワーク機能やサービスアプリケーションもクラウド上で提供していく考えだ。最近話題のNFV(Network Functions Virtualization)である。
エリクソンでは1年半ほど前からこうした「サービスプロバイダーSDN」の展開に力を入れており、すでにオーストラリアの大手通信事業者テレストラとトライアルを実施しているそうだ。
キャリア網があたかも、企業のプライベート網のように
エリクソンの取り組みで注目されるのは、APIを開放することで、企業ユーザーが通信事業者のネットワークをあたかもプライベートネットワークのように利用することが想定されていることである。エクデン氏は「通信とITの技術の融合が進んだことで、これが可能になった」と語った。
さらにエクデン氏は、通信事業者のネットワークにSDNが現状ではあまり導入されていない理由について、「新規に設備を構築するデータセンターに対し、通信事業者のネットワークは様々なコネクテッドドメインで成り立っており、容易に変更できない点にある」と説明。そのうえで、SDNの導入は来年から徐々に進み、「本格的な普及は2016年頃からになる」という見通しを示した。
EBIFはエリクソンが毎年世界の注目市場で開催しているもの。日本での開催は今回が初で、34カ国96名のメディア関係者、10カ国23名のアナリストが参加した。
エリクソン・ビジネス・イノベーションフォーラム2013の会場風景(六本木ヒルズ) |