MAM(モバイルアプリケーション管理)のタイプ別特徴とは?
それでは、業務アプリケーションとそのデータ自体は、どうやって守ればいいのだろうか。最近、急浮上しているのが、MAM(モバイルアプリケーション管理)と呼ばれるソリューションである。
MDMが企業の資産である“デバイス”を管理するのに対し、MAMは業務アプリケーションとそのデータという企業の資産である“業務情報”を管理するためのソリューションといえる。レコモットの「moconavi」もMAMの1つだ。
東郷氏によれば、MAMにはいくつかのタイプが存在する。まずはSync系。マイクロソフトのActiveSyncなど、メールやカレンダーなどのデータをネットワーク経由で同期するタイプだ。ローカルにデータが残り、リモートワイプが必須なのが弱点である。
主なMAMのタイプとmoconaviの位置づけ |
また最近はMDMベンダーなどから、サンドボックス化された業務専用の領域に、セキュリティポリシーを適用したうえで業務アプリケーションを暗号化して格納できるタイプも多く登場している。しかし、こちらもローカルにデータを残せば、リモートワイプの課題が残る。
デバイスにデータを残さないMAMとしては、セキュアブラウザ系とリモートデスクトップ系が挙げられる。セキュアブラウザは、「いったんデータをデバイスに書き込むが、その後でキャッシュを消す」など、セキュリティ強度を高めたWebブラウザのこと。
Webコンテンツの利用に限れば安全性は高いが、問題はOffice文書など、それ以外のコンテンツを利用するときだという。他社製のドキュメントビューアと連携してOffice文書なども閲覧できるセキュアブラウザがあるが、「せっかくセキュアブラウザでスクリーンキャプチャを抑止していても、そのドキュメントビューアのほうでキャプチャできてしまう」などの課題があるそうだ。
画面転送技術を使ったリモートデスクトップ系については、「セキュリティ強度の点では最強。キーボードを付けて、Wordの編集をするなどの業務には非常に向いているソリューションだ」と東郷氏は評する。
ただその一方で、あらゆる業務に向いているわけではない。例えば、電車での移動中など、ちょっとした空き時間の有効活用を想定してみよう。Windowsの画面を小さなディスプレイ上で操作するのと、スマートフォン用に作られたネイティブアプリで操作するのと、どちらが使い易いかは明白である。
いずれのタイプのMAMも、セキュリティあるいは使い易さに課題があるというわけだ。
moconaviなら「セキュリティと操作性の両方を担保」
対して、moconaviは「セキュリティと操作性の両方を担保している」のが特徴だという。
moconaviは、スマートデバイスにインストールしたmoconavi専用ネイティブアプリから、社内メールやグループウェア、社内ファイルシステム、Webアプリケーションなどを統合的に利用できるソリューションだ。スマートデバイスでの業務アプリケーション活用をmoconaviに一元化することで、BYODでも会社支給のデバイスでもセキュアな運用が可能になる。
様々な業務アプリケーションに1つで対応するmoconavi |
moconaviが標準で対応する業務アプリケーションシステムは、Microsoft Exchange、IBM Notes/Domino、Google Apps、Salesforce.com、サイボウズ、Microsoft Dynamics CRMなどだ。また、これら以外のWeb化されていない業務システムについても、XMLで画面定義を行うことで「低コストでモバイル化できる」という。さらに、自社開発のドキュメントビューア機能も備えており、OfficeやPDFファイルもスクリーンキャプチャなどを防止したうえでmoconaviでそのまま閲覧できる。
スマートデバイスにUIが最適化されたネイティブアプリから、こうした業務アプリケーションが利用できるので、セキュリティだけではく、もちろん操作性にも優れている。
このほか、シスコのリモートアクセスクライアント「Cisco AnyConnect」や主要ワンタイムパスワード(OTP)ベンダーとの密接な連携などもmoconaviの特徴だ。
moconaviの主な特徴 |
東郷氏は、三菱東京UFJ銀行や高島屋、大手エネルギー商社など、大手企業での導入時例を紹介したうえで、「実績とセキュリティ強度については絶対的な自信を持っている」と語り、講演を締めくくった。
大企業中心のmoconaviの導入実績 |