レガシーなWindowsアプリをスマートデバイス向けに最適化
画面転送によるデスクトップ環境をモバイルで利用するにあたっては、いくつかの課題も指摘されている。1つは反応速度などのパフォーマンス面だ。ネットワークにかかる負荷をいかに減らすかがポイントになる。
この点について竹内氏は、「レンダリング処理をクライアントのリソースも使って実行する」などの工夫をしていることを紹介。さらに、最新版のXenDesktop 7では、H.264ベースの圧縮技術の採用により、「フレーム転送を倍増させながらも、負荷は半減させるといった非常に大きな進歩を遂げた」という。これにより「3D CADのような非常に負荷の高いアプリケーションも利用できる準備が整った」。
もう1つの課題は操作性である。XenDesktopは、Windows PCのみならず、Mac、Linux、そしてiOSやAndroidといったスマートデバイスでも利用できるマルチデバイス対応が特徴だ。しかし、タッチ操作のスマートフォンやタブレットでは、物理キーボードとマウスを前提にしたWindowsのデスクトップ環境に使いにくさがあるのも確かである。
シトリックスでは、Windowsアプリケーションのインターフェースを、簡単にスマートデバイス向けにできる「Mobile SDK for Windows Apps」を用意することで解決している。竹内氏はこのSDKを利用した電子カルテなどのサンプルのデモを行ったうえで、「レガシーなWindowsアプリケーションに対して、新たな付加価値を最適なコストで追加できる」と説明した。
Mobile SDK for Windows Appsを利用した電子カルテアプリ。Windowsアプリがタブレットに最適化されたUIに変身している |
全方位でモバイルワークスタイルの実現をサポート
モバイルワークスタイルを支えるキーデバイスであるスマートフォンやタブレットの業務活用にあたっては、Windowsアプリケーションへの対応だけでは当然十分ではない。iOS/AndroidのネイティブアプリケーションやSaaSを含むWebアプリケーション、そしてデータそのものを安全に利用するための仕組みや、BYODへの対応なども必要だ。
これらに対してもシトリックスは「答えを持っている」という。
同社の「XenMobile」では、業務アプリケーションを「コンテナ」内に暗号化して隔離し、プライベートなアプリケーション/データとの連携を遮断することができる。これにより、企業のIT部門は、業務アプリケーションそのものに対してセキュリティポリシーを適用できるようになる。
XenMobileの概要 |
スマートデバイスの管理というと、MDMがまず思い浮かぶ人が多いだろう。だが、MDMはモバイルデバイス管理という名前の通り、これはデバイスを管理するためのソリューションである。しかし、BYODにおいて、プライベートなアプリケーション/データも入ったデバイスそのものを管理対象とすることは難しい。
そこで注目を集めているのが、XenMobileのように業務アプリケーションを管理するためのソリューションだ。MAM(モバイルアプリケーション管理)といわれている。なお、XenMobileはMDMの機能も備えている。
XenMobileでは、メールやブラウザなどのアプリケーションを標準で用意しているほか、WindowsおよびWebアプリケーションも一元管理可能。また、デバイス単位ではなく、アプリケーションのセッション単位でVPNを張る「マイクロVPN」などにも対応する。
さらに、「ShareFile」というスマートデバイスに対応したクラウドベースのファイル共有サービスも提供している。これにより、セキュアに業務用のデータを共有することが可能だ。もちろんXenMobileともシームレスに連携する。
シトリックスのモバイルアプリケーションファミリ |
「ビジネスをモバイル化するために必要なものは、すべてシトリックスに揃っている。我々は、全方位でモバイルワークスタイルの実現をお手伝いできる」と竹内氏は力強く語った。