攻撃は250%高速化 将来的には“100倍速”も
続いて、Unit 42でアジア太平洋・日本地域のマネージングパートナーを務めるフィリッパ・コグスウェル氏が、最新の脅威動向を解説した。
Palo Alto Networks Managing Partner, Unit 42, Asia Pacific & Japan フィリッパ・コグスウェル氏
Unit 42が発表した2025年インシデント対応レポートは、2024年を「ビジネスへの影響を狙う攻撃が顕著になった年」と位置づけている。攻撃の高速化に加え、エンドポイント、クラウド、ネットワーク、IDなど複数の領域を狙う多層攻撃や、Webブラウザを標的とした攻撃の増加が特に顕著だったからだ。
Unit 42は、攻撃の高速化、多層攻撃、ブラウザを狙った攻撃が増加したと分析
Unit 42が「Muddled Libra」と呼ぶグループによる巧妙なソーシャルエンジニアリング攻撃や、中国や北朝鮮といった国家の支援を受けたグループによる攻撃も深刻化している。中国は同盟国であるカンボジア政府を攻撃したり、北朝鮮は身分を詐称して海外企業にリモート雇用され資金を獲得したりするなど、従来の認識を超える攻撃が出現している。
このような攻撃の高度化・高速化を支えているのはAIだ。北朝鮮の例では、顔を偽装するディープフェイク技術にAIが悪用されている。そしてコグスウェル氏は、過去4年間で攻撃は250%加速していると指摘し、「Unit 42の実験によると、AIによる攻撃は今後最大で100倍高速化する可能性もある」と話した。
「Unit 42」の日本専任チームを立ち上げ 緊急時サポートを日本語で提供
日本の状況はどうか。「日本のように言語バリアの高い国では比較的攻撃が少なかったが、生成AIの登場により容易に日本語のフィッシングメールや偽装会話を作成できるようになった」とコグスウェル氏。日本企業を標的にした攻撃の増加が予想される。
こうした状況を踏まえ、コグスウェル氏はUnit 42の日本専任コンサルティング・インシデント対応チームを立ち上げたことを発表した。2025年7月から人材の採用を開始し、すでに日本常駐のメンバーが活動している。脅威プロファイリング、アタックサーフェス評価、攻撃シミュレーション、ロードマップ策定などのサービスを提供することに加え、日本語対応可能な緊急ホットラインを開設することで、迅速なサポートを可能にする。
Unit 42の日本専任チームの体制。問い合わせ窓口も公開している
基調講演を含めたIgnite on tour Japanの各セッションは、11月4日から2026年1月30日までオンデマンド配信される。