「UCの利用シーンは、IPテレフォニーやインスタントメッセージ(IM)、Web会議などのニーズを持つ一般オフィスから、自治体の観光案内や病院のナースコール、ホテルのルームサービスなど、業種ごとの顧客接点の現場へと広がっている」
NECの神谷健一氏はこう話した上で、UCを活用したコミュニケーションを4つに分類した。
NEC 企業ネットワーク事業部 開発推進グループ マネージャー 神谷健一氏 |
1つはオフィスワーカー間のコミュニケーション。この場合、付加価値の最大化に重きが置かれる。2つめは現場スタッフ間のコミュニケーションで、業務効率の向上が目的となる。3つめは地域顧客とのコミュニケーション。ここではサービス強化が重要になる。4つめは施設内の顧客とのコミュニケーションで、顧客満足度(CS)向上や売上アップがターゲットだ。
「NECは顧客の目的実現に最適なコミュニケーションの手段を提供していく」と神谷氏は、4つのコミュニケーションシーンごとにUCの導入事例を紹介した。
UCの導入シーンはこのように4つに分類できる |
14万人の社員が情報共有
オフィスワーカー間のコミュニケーションについては、NEC社内でのUC活用事例を紹介。同社には全世界14万人の社員がいるが、その14万人が情報共有するために「グローバル情報共有基盤(GISP:Global Information Sharing Platform)」を構築した。
グローバル情報共有基盤「GISP」の特徴 |
GISPの特徴は3つ。1つは「グローバル」で、メールやスケジューラー、Web会議などをグローバルで共通化、各国の情報セキュリティ政策などにも対応している。
2つめは「モビリティ」だ。スマートフォンを含めたマルチデバイスの活用、移動中や外出中の人への素早いアクセス、BYOD(個人所有端末の業務利用)などを実現する。「セキュリティ」もGISPの特徴の1つである。グローバル認証基盤との連携、自動暗号化、文書ファイルへのアクセスログ履歴などの機能を持っている。
「NECはGISPの自社導入で得た知見を生かし、ソリューション化してビジネスを行っていく」(神谷氏)という。
スマホを中核に院内サービスを拡充
現場スタッフ間のコミュニケーションでは、病院におけるスマートフォンとナースコール連携の事例が紹介された。福島県郡山市にある星総合病院では、新築に合わせてシステムを刷新し、スマートフォン200台を導入した。
医師や看護師長、看護士などにスマートフォンを貸与。ナースコール連携やカナ漢字表示での呼び出し患者特定などの機能を備えたスマートフォンは現在、院内情報のキーデバイスになっているという。なお、ナースコール連携用には白ロムのスマートフォンが利用されている。
今後は、職員の位置情報の活用やスマートフォンでのWebサイト閲覧、端末間の一斉メールなどスマートフォンならではの利用の仕方を推進していくという。「NECはナースコール連携だけでなく、スマートフォンを中核とした病院内サービスを拡充していく方針だ」(神谷氏)