チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズは2013年8月21日、本富顕弘(ほんぷ・あきひろ)氏が8月1日付けで代表取締役社長に就任したのに伴い、記者会見を開催した。本富氏は元ウォッチガード・テクノロジー・ジャパン代表取締役社長で、1963年生まれ。「今後3年間で(日本の)売上を2倍にする計画だ」と語った。
「もはやファイアウォールベンダーではない」
本富氏のリーダーシップのもと、新たなスタートを切ったチェック・ポイント。3年で2倍という目標を達成するための方策として、まず強調されたのは、次世代ファイアウォール(Next Generation Firewall:NGFW)ベンダーへの転換加速である。「チェック・ポイントは総合セキュリティベンダーで、もはやファイアウォールベンダーではない。言うなればNGFWのベンダー」と本富氏は話した。
チェック・ポイントは以前からSoftware Bladeアーキテクチャにより、ファイアウォールだけにとどまらず、IPS、アンチボット、アンチウィルス、アプリケーションコントロール、URLフィルタリングなど、トータルなセキュリティ対策機能を提供している。しかし、まだまだ旧来型のファイアウォールビジネスの占める割合が大きいようだ。
そこで本富氏はあらためてNGFWベンダーへの転換をアピール。さらにファイアウォール/IPS/アプリケーションコントロールのSoftware Bladeを搭載した「Next Generation Firewall」、IPS/アンチボット/アンチウィルスなどを搭載した「Next Generation Threat Prevention」といったふうに、製品ラインナップをシンプルに分かりやすく整理し直すことで、Software Bladeの拡販を図っていくという。
数あるSoftware Bladeをこのようにまとめ、シンプルな製品ラインナップに |
セキュリティレベルは低いが、持っている情報の価値は高い中小企業
大企業を主戦場にしてきたチェック・ポイントだが、今後は中堅・中小企業市場にも注力していく。本富氏は「日本の企業の99%は中堅・中小企業にカテゴライズされる」とそのポテンシャルについて言及するとともに、「サイバー犯罪者にとって中小企業や支店・リモートオフィスは蜜の味。保護レベルは低い一方、持っている情報の価値は高いからだ」と中小企業におけるセキュリティ対策の重要性を訴えた。
サイバー犯罪者にとって中小企業は「蜜の味」だという |
中小企業市場開拓のための具体策として紹介されたのは2つだ。1つは今年4月に発表した「Check Point 1100 Appliance」。9万6000円からの支社・支店向けアプライアンスで「チェック・ポイントのビッグセキュリティが小規模な支店でも使える。ファンレスなので基本的に音もしない」と本富氏は説明した。
もう1つは、マネージドセキュリティサービス(MSS)だ。欧米では以前から提供していたというが、日本では販売パートナーとの協力のもと、今からMSSを本格化させる。
チェック・ポイントのMSSの概要 |
中小企業向けのMSSについては、すでに数社のパートナーと具体的な話し合いが進んでおり、年内に立ち上がる予定とのこと。また、大手サービスプロバイダーとも検証作業を行っているそうだ。
なお、販売パートナーから見たチェック・ポイントのMSSの特徴は、アプライアンスやMSSサーバーがレンタル提供されるので先行投資が不要なこと。チェック・ポイントのブランドではなく、パートナーブランドでもMSSを提供できる。「パートナーと一緒に、中堅・中小企業に売れる仕組みを作っていきたい」と、本富氏は販売チャネル強化に力を入れる姿勢も強調した。
パートナーとのMSSの協業モデル |