いまこそ始める無線LAN――BYOD、802.11ac、販促活用が新キーワード

無線LANの存在感が増している。スマートデバイスの普及が導入に拍車をかけているのだ。BYODにも注目が集まるほか、さらにIEEE802.11acや販促での活用など新しい話題も登場し、無線LANに吹く追い風は止みそうにない。

企業・組織における無線LANの導入機運がこれまで以上に高まっている。アルバネットワークス・システムエンジニアリング部コンサルティングエンジニアの池田豊氏は、「これまで無線LANは会議室や特定のフロアなど、部分的な導入が主だった。しかし、近年では全社導入へと拡大しつつある」と話す。

従来、業務で用いられる端末はデスクトップPCが中心であった。しかし、ノートPCの採用が増え、また、スマートフォンやタブレット端末を社内ネットワークに接続し、業務で利用したいという声が増えている。そのアクセス手段として、無線LANが改めて脚光を浴びているのだ。

モトローラ・ソリューションズでワイアレス・ネットワーク・ソリューションズ ビジネス開発部長を務める的場晃久氏は「これまでの無線LANは、有線LANを補完する位置付けにあった。しかし、モバイルデバイスの普及により、今後、無線LANがプライマリなアクセス手段となるだろう」と語る。

さらに無線LANは、企業のオフィスを超えてさまざまな場所へと裾野を広げている。ディーリンクジャパン・マーケティングコミュニケーション部部長の石原幹夫氏は、「企業だけでなく、教育、医療機関、ホテルなど、無線LANの導入先はこれまで以上に拡大している」と話す。

例えば、近年の小中学校では専用のPCルームだけではなく、タブレットやノートPCを用いた情報教育が一般の教室でも行われている。また、医療機関においても、問診時の入力端末としてタブレット端末を用いるケースが増えている。こうした端末の移動を伴うような利用シーンでは、無線LANの利用が不可欠だ。

こうした状況に、さらに拍車をかけているのが、社員が使い慣れた個人所有のデバイスを業務で利用するBYOD(Bring Your Own Device)である。会社から貸与されるモバイルデバイスではなく、使い慣れた自分のスマートフォンやタブレット端末で仕事をすることにより、生産性向上や業務のスピードアップを図ろうというものだ。実際、「BYODに関する商談はこの1年から半年で倍以上は増えている」(池田氏)という。

802.11acも導入を後押し

スマートデバイスの普及と活用シーンの広がりに加え、さらなる導入の追い風となりそうなのが、新規格「IEEE802.11ac」の登場だ。IEEE802.11acは現行のIEEE802.11nの次世代規格であり、ギガビットを超える有線ネットワークに匹敵する高速通信を実現する。IEEEではまだドラフト策定の段階にあるが、製品間の相互運用性保証などを推進する業界団体、Wi-Fi AllianceのIEEE802.11acの認定プログラムは、ドラフト策定に先がけた2013年6月にリリースされた。

ギガビットクラスの高速性は多くのメリットをもたらす。その一例として、VoIPやビデオ会議をはじめとした広帯域を要するマルチメディアアプリケーションのスムーズな利用が挙げられるだろう。

また、BYODにより私有のスマートデバイスの業務活用が進めば、ユーザーは複数のデバイスを使うようになり、無線LANにも多大な負荷が掛かるようになる。IEEE802.11acがもたらす高速性は、より多くのデバイスを収容しながらも、通信のパフォーマンスを劣化させないため、こうした課題も解決するのだ。

すでに市場には、IEEE802.11ac対応を謳った製品も現れ始めている。しかし、その本格展開にあたってはメーカー側もユーザー側も様子見の段階にあるようだ。

メーカー各社は、「IEEE802.11ac製品に対する問い合わせは非常に多い。とはいえ、デバイス側の対応がこれからであるのと、市場価格もまだまだ高額。したがって、本格的な普及は、2014年度以降ではないか」と口を揃える。

月刊テレコミュニケーション2013年7月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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