7つの名刺管理システムから選んだのは?
iPhone 5をはじめとするスマートフォンを、グループウェアやSFA、Webの閲覧、テザリングなどに活用し、前述の通り「仕事の効率が全然違う」とその効果を実感しているダイヤオフィスシステム。さらに同社では、外出先でiPadやノートPCからデザイン作業等が行えるように、VDI(仮想デスクトップ)ソリューションなども導入している。
このようにモビリティを業務に積極的に取り入れているダイヤオフィスシステムであるが、最近またもう1つ、外出先にいる社員の生産性向上に貢献するシステムが加わった。それは、名刺管理システムである。
取引先の連絡先は、業務遂行上、最重要の情報の1つだ。そこで取引先の連絡先をデータベース化して社内で共有している会社は多いが、「同じ人のデータが複数登録されていて、しかも古い情報が混在している」「名刺情報を手入力するのが大変」「大切な顧客の情報が間違っていた」など、データの整合性確保や入力の手間が課題となっている。
ダイヤオフィスシステムでも以前から基幹システム側で入力された取引先情報をグループウェアと連携させて使用しているが、メンテナンスの手間がかかるのと基幹側では管理していないフリー項目(趣味・嗜好など)の管理ができていなかった。
それで、浮上したのが名刺管理システムの導入だった。当初はある部門の中だけで話が進んでいたが、日高氏は全社展開する方針を決める。
名刺管理システムの導入にあたっては7社の製品を比較したそうだが、最終的に選択したのはKDDIのクラウド型サービス「KDDI Knowledge Suite」の1機能として提供されている「GRIDY 名刺CRM」だった。KDDI Knowledge Suiteとは、グループウェアやSFA、CRMなどのビジネスアプリケーションをオールインワンで提供する統合サービスである。
KDDI Knowledge Suiteの1機能として提供されている
「GRIDY 名刺CRM」の画面イメージ
選定時には、名刺のスキャンに使える入力デバイスの多様さ、スマートフォンからもデータの編集ができるか、150人の社員が名刺を5万枚スキャンしたという条件でのコストなど、様々な観点で比較を実施。さらに日高氏が「これだけは譲れない」と考えていたある要件もあった。
それは、人手によるデータ修正サービスである。名刺管理システムはスキャンした名刺画像をOCR(光学文字認識)で読み取るため、どうしても精度は100%にはならない。100%に近付けるには、人手による補正が必要だ。
「営業担当者が時間をかけて手直しすることを考えたら、1枚当たりの単価は上がったとしても、データ修正サービスが欲しかった」
検討した7つの製品のうち、データ修正サービスも提供していたのはKDDI Knowledge Suiteを含めて2製品のみ。KDDI Knowledge Suiteの場合、ユーザー企業側で名刺をスキャンすると、そのデータがインターネットを介してデータセンターに送信され、翌営業日にはオペレーターによって補正されて納品される仕組みになっている。
これ以外の項目についても優れていたことから、ダイヤオフィスシステムはKDDI Knowledge Suiteの採用を決定する。
展示会で集めた名刺とアンケートデータを即座に営業に活用
数カ月前から本格運用が始まった名刺管理システム。専用の名刺スキャナーで読み取るだけで、いつでもどこでも必要な連絡先を確認できるというメリットは、すぐに口コミで社内に広まった。KDDI Knowledge Suiteはデバイスにデータを残さないため、セキュリティ面でも安心である。
KDDI Knowledge Suiteでは、このように名刺のスキャン画像も
スマートフォンで閲覧できる
また最近、名刺管理システムが早速、大活躍する機会があったという。ダイヤオフィスシステムでは7月にある展示会に参加したが、そこで集めた名刺をKDDI Knowledge Suiteで即座にデータ化。ブース来場者に対して迅速にお礼のメールを送ることができたのである。
「他の名刺管理システムだったら、OCRで読み取ったデータを結局自分たちで手直しする必要があった。お礼メールを出すまでに長い時間を要しただろう」
さらに、今回の展示会では、受け取った名刺と簡単に紐付けられるように工夫したOCR用アンケートシートも用意。展示会終了から2日間で、アンケート回答付きの見込み客データを営業部門にフィードバックすることもできた。
「名刺データと連携したアンケート情報から見込み客を選定することで、営業活動への速やかな移行が可能となる。その行動をアシストする名刺管理システムは、モビリティの高い有効なツールであると考えている」と日高氏。
iPhoneをはじめとするスマートフォンに、名刺管理システムも新たに加わったことで、ダイヤオフィスシステムのワークスタイルは一層の進化を遂げたようだ。