緊急脆弱性の8割は“対応不要” DatadogがDevSevOps年次レポート

クラウド環境において、セキュリティと開発・運用の融合を図る「DevSecOps」が注目されている。Datadogが発表した最新レポートでは、緊急と分類された脆弱性の多くが実際には優先対応を要さないことや、サービスのデプロイ頻度が依存ライブラリの更新の遅れやセキュリティリスクに影響することなど、DevSecOpsを現場に定着させるうえで実用的な知見が示された。

Javaの更新遅れは13カ月

また、かねてより課題だったライブラリの更新の遅れは、依然大きな課題であることも指摘した。調査によると主要言語の最新メジャーバージョンからの更新遅れは中央値で215日に上る。「半年以上更新が遅れていることは、技術的負債だけでなくセキュリティリスクの高まりでもある」とクルーグ氏は警鐘を鳴らした。

すべての言語の依存ライブラリは更新に大きな遅れ

すべての言語の依存ライブラリは更新に大きな遅れ

特に問題が大きいのがJavaで、その遅れは13カ月に及んでいる。クルーグ氏は「静的に置いておくことで改善を待つのではなく、継続的に更新することで改善するという意識の変革が必要」と呼びかけた。

ソフトウェアサプライチェーンへの攻撃深刻化 国家支援型攻撃者も増加

ソフトウェアサプライチェーンへの攻撃の深刻化も報告された。タイポスクワッティング(人気ライブラリ名のなりすまし)や正規パッケージの乗っ取りといった手法により、オープンソースのパッケージ管理システムであるPyPI(Python Package Index)やnpm(Node.js用のパッケージ管理システム)などのエコシステムが標的とされている。一般の攻撃者に加え、国家支援型とみられる攻撃者の関与も増えているという。

深刻化するソフトウェアサプライチェーンへの攻撃

深刻化するソフトウェアサプライチェーンへの攻撃

デプロイ頻度の向上がリスク回避に有効

脆弱性の発生リスクを抑えるために有効なアプローチとして、クルーグ氏が挙げたのがデプロイ頻度の向上だ。Datadogの調査によれば、サービス(クラウド上で稼働するアプリケーションやマイクロサービスなど)を日次でデプロイしている組織は、依存ライブラリの更新遅延を約70日短縮できているという。

デプロイ頻度が低いほど依存ライブラリの更新が遅延

デプロイ頻度が低いほど依存ライブラリの更新が遅延

クルーグ氏は、「DevSecOpsは理想論ではなく、問題に対応する実践的な手法だ」と強調。DevSecOps導入の成功の鍵として、社内文化の改革、KPIによる可視化と段階的な実践、そして継続的に改善し、学ぶ環境を組織内に築くことの3点を挙げた。

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