クラリオン、Googleの音声認識と検索技術を使ったカーナビ――スマホ連携の最終形はMiracast

カーナビメーカーのクラリオンは、グーグルの音声認識技術と店舗検索サービスを利用したカーナビを年内に投入すると発表した。通信機能は、スマートフォンとの連携を想定しており、まずBluetooth、最終形としてMiracastを考えているという。

グーグルとクラリオンは5月10日、共同で記者会見を開催した。クラリオンは、グーグルの音声認識技術「Google 音声検索」と店舗検索サービス「Google Places」を活用したカーナビを年内に提供開始する予定だという。

会見ではまずGoogle アジア太平洋GEOセールスディレクターのリチャード・サー氏が登壇。「情報というとテキストや画像を想像してしまうが、大部分の情報は地理空間情報と関係している。グーグルの検索のうち、実に20%が何らかの位置情報と関連付けられている。グーグルの地理空間情報のテクノロジーは、私たちの生活そのものを変革した」と話した。

Google アジア太平洋GEOセールスディレクターのリチャード・サー氏
Google アジア太平洋 GEO セールスディレクターのリチャード・サー氏

また、地理空間情報のもたらす経済効果は、ボストンコンサルティンググループなどの調査によると2700億ドルにも達しており、「しかもこの経済効果は毎年30%の拡大をしている」という。例えば、ナビゲーション技術を活用している企業の節約効果の合計は173億ドルになるとのことだ。

ただ、サー氏は地理空間情報の活用は、まだまだコンシューマ中心にとどまっていると考えているようだ。「優れた地理空間情報をコンシューマの世界から企業の世界にもたらすのが私の役割」と語った。そして、その「素晴らしい」一例として、クラリオンとの今回のパートナーシップを紹介した。

通信機能はスマホ連携で

クラリオンは、日立グループのカーナビ/カーオーディオメーカー。自社ブランドに加えて、自動車メーカーへのOEM提供も行っている。また、グローバルにビジネスを展開しているのも特徴だ。

取締役社長の泉龍彦氏は「“ハードウェア中心”だけでは、これからの成長は見込めない。従来から“つながる”という言葉をキーワードにしてきたが、グーグルの技術を活用してさらにワンステップ先に進んでいきたい」と話した。グーグルをパートナーに選んだ理由としては、世界47カ国で利用できる完成した技術で、製品・サービスをグローバルに展開できる点が大きかったという。

Smart Access
クラリオンは従来から自動車向けクラウド情報ネットワークサービス「Smart Access」を提供。グーグルの技術を活用し、さらにSmart Accessの拡充を図る

年内に提供開始予定のサービスについては、プロトタイプの車載端末を使ってデモが行われた。「スタバ」「おいしいラーメン」「花屋 24時間営業」などとしゃべると、Google 音声検索により音声認識が行われ、Google Placesの検索結果を表示。選択した目的地までのナビゲーション情報が示される。「グーグルの音声認識のクオリティと検索結果の圧倒的な量は素晴らしい。それをノイズや温度など、車という非常に厳しい環境の中で使えるようにするのがクラリオンの技術」だという。

カーナビ
グーグルのテクノロジーに対応したカーナビのプロトタイプ。デモでは、非常に高い精度で音声認識が行えていた

なお、地図情報についてはGoogle Mapsではなく、カーナビ搭載のローカルデータを利用する。カーナビの最も基本である地図情報までクラウドに頼ると、通信環境に左右されてしまうからだという。

Google VoiceやGoogle Placesを利用するための通信機能に関しては、スマートフォンとの連携、車載端末への通信機能の組込みの2つの方法がある。明言はされなかったが、現在のところスマートフォンとの連携をメインに考えているようだ。グローバルではスマートフォンとの連携が主流だという。

スマートフォンと車載端末間の通信手段は、まずBluetoothになる見込みだ。ただ最終形としてはWi-Fi Allianceが策定した新技術「Miracast(ミラキャスト)」を想定しているとのこと。MiracastはWi-Fiを使ったディスプレイ伝送技術。端末同士で1対1で直接接続できる(関連記事)。

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