アカマイ・テクノロジーズは2013年3月13日、2013年戦略発表会を開催した。打ち出されたのは「Protect & Perform」戦略とパートナーの強化である。
登壇した徳永信二社長は冒頭、集まった記者たちに3つの質問を投げかけた。1つめは、アカマイがコンテンツのデリバリーをやっている会社だと知っているか。2つめは、Webアプリケーションの安定配信や高速化をやっていることを知っているか。3つめは、Webセキュリティを提供していることを知っているか。
アカマイというと現在でもCDN(コンテンツデリバリネットワーク)プロバイダーとして紹介されるケースが多いが、Webアプリケーションをインターネット経由でセキュアに配信するエンタープライズ向けソリューション「Terra」、DDoS対策やWAFを提供するセキュリティソリューションの「Kona」などもラインナップしている。
アカマイの製品ポートフォリオ |
「ティム・バーナーズ=リーが発明したWorld Wide Webに技術的に欠けているものを補完しようと設立されたのがアカマイだ。インターネットを安定したインフラとしてパフォーマンス良く、なおかつ安全に活用するためのサービスを提供するのが我々の役割である」と、同社のソリューションがコンテンツ配信の最適化にとどまらないことを徳永氏は強調した。
アカマイの会社概要 |
金融/製造/ハイテク/官公庁を徹底的に攻める
今回発表されたProtect & Perform戦略も、こうしたアカマイのビジョンに則したものだ。CDN市場で圧倒的なシェアを誇る同社が、セキュリティやエンタープライズ分野での成長をさらに加速させていくための戦略ともいえる。
具体的には、メディアやオンラインゲーム企業など、すでにCDNを利用しているユーザー企業に対して、付加価値としてセキュリティソリューションを積極的に提案していく。また、セキュリティへの懸念からインターネット上でWebアプリケーションを運用していない金融/製造/ハイテク/官公庁などについても、Protect & Performの切り口により「革新をもたらしたい」という。
Protect & Performの概要 |
なお、アカマイのセキュリティソリューションは、世界80カ国以上に設置された12万8000台以上のアカマイサーバーによる分散処理が特徴。世界最大手のCDNプロバイダーであるアカマイにしかできないアーキテクチャとなっている。「パフォーマンス向上のためにセキュリティを犠牲にしない。また、セキュリティ向上のためにパフォーマンスを犠牲にしない。この両方を同時に成立させられるのはアカマイだけだろう」と徳永氏は話した。
加えて、「エンタープライズ市場を徹底的に攻めていくため、パートナー強化にも力を入れている」という。昨年4月の社長就任から1年、パートナーとの関係強化に努力してきたと徳永氏は説明し、この日は伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と新たにパートナー契約を結んだことも発表された。
アカマイの主なパートナー。パートナーの数を増やすというより、関係強化に力点を置いているという |
アカマイの2012年の売上は13億7400万ドルで、前年比19%の成長を記録した。驚かされるのは今後の売上目標で、2020年に50億ドルの売上を計画しているという。「今の時点からすると、かなり大きな数字だが、我々はこの数字を確実に実行できると考えているし、日本も同じように成長していく。アカマイはインターネットの成長と共にある」と徳永氏。Protect & Perform戦略を軸に、アカマイはさらなる飛躍を目指している。