モバイルクリエイトは2025年4月30日、IP-Netと共同で業務用IP無線システム「iMESHシリーズ」の航空機タイプである「IM-970」を開発したと発表した。セントラルヘリコプターサービスを設計者として国土交通省航空局よりSTC(追加型式設計承認)を取得。IM-970をヘリコプター「エアバス・ヘリコプターズ式BK117D-3型」に搭載した。
業務用IP無線システム「IM-970」
エアバス・ヘリコプターズ式BK117D-3型は、欧州のエアバス・ヘリコプターズ社が川崎重工業と国際共同開発した中型双発ヘリコプターだ。救急医療、消防・防災、警察、報道、人員輸送、物資輸送などで活躍している。
エアバス・ヘリコプターズ式BK117D-3型
IM-970は、日本で初めて携帯電話ネットワークを用いて機内の通信オンライン化を実現した装置だ。ドクターヘリとしてエアバス・ヘリコプターズ式BK117D-3型を使用する場合、医療用タブレットなどの機器を上空でオンライン化することで、迅速かつ効率的な人命救助に貢献するという。
また、モバイルクリエイトの動態管理システム「モバロケ」を併用することで、ヘリコプターの位置情報をリアルタイムで管理し、地上での患者の受入れ態勢を効率化することが可能だ。
オプションでイリジウム(衛星通信)回線をLTEと併用することも可能。航空機外に設置したLTEアンテナとイリジウムアンテナ、GPSアンテナを利用して、上空でも安定した通信を実現。LTE通信が不安定な場所でも、通信が一定時間途絶えると自動的にイリジウム回線に切り替えて位置情報を補完する。
NTTドコモのLTE回線と衛星通信回線を併用
ヘリコプター機内へのIM-970の搭載については、取得したSTCの設計以外の方法で搭載する場合、ヘリコプターの機体ごとに航空局による検査・申請が必要となる。今後は対応機種を増やし、上空での様々な用途に備え、本装置を展開していくとしている。