ヴイエムウェアは2013年度に注力する分野として「Software Defined Data Center」「ハイブリッドクラウド」「エンドユーザコンピューティング」を挙げている。
ヴイエムウェアの目指すエンドユーザコンピューティング環境とは、マルチデバイス化とコンシューマライゼーションに対応し、柔軟なワークスタイルを実現するものだ。そのためのソリューション提供を3本柱の1つとしているわけだが、このエンドユーザコンピューティングに関する新製品「VMware Horizon Suite」を2月21日に発表した。
Horizon Suiteの概要 |
同社代表取締役社長の三木泰雄氏によると、個人所有のスマートデバイスやDropbox等のコンシューマアプリケーションなどに対するIT部門の対応は3つに分類できるという。1つは「知らないふり」――。「『使っていい』とは言っていないが、実態として使っているという状況が多い」。
2つめは「ガチガチに縛ってしまう」という対応である。「コンプライアンスやセキュリティの観点では良いが、生産性の点では良くない。また、ユーザーの不満も高まる」
そして3つめはポイントソリューションの採用である。「しかし、ポイントソリューションでは全体を管理していくのに非常に複雑になる。そこで、トータルな基盤を提供していこうというのが我々の考え方である」。そのトータルな基盤としてヴイエムウェアが提供するのがVMware Horizon Suiteである。
企業版Dropbox機能も搭載
VMware Horizon Suiteは、機能拡張されたVDI製品の「VMware Horizon View 5.2」とPC管理製品の「VMware Horizon Mirage 4」、そして今回新しく提供を始める「VMware Horizon Workspace」で構成されるスイート製品だ。
Horizon Workspaceは、デバイス単位からユーザー単位のポリシー適用/管理へと移行するための「Webポータル」製品である。エンドユーザーがWorkspaceのWebポータルにアクセスすると、PCやタブレットなどのデバイスの種類に依らず権限を与えられたアプリケーションやファイル、Horizon Viewによる仮想デスクトップ環境を利用できる。また、IT管理者はWebポータル画面から、ユーザー単位でアクセス権限を一元管理できる。
Horizon Workspaceの画面。「アプリケーション」のタブには利用権限のあるアプリケーションが表示され、ここから利用を始められる |
Workspaceから利用可能なアプリケーションはSaaSと「VMware ThinApp」によって仮想化されたWindowsアプリケーション。また、ヴイエムウェアではProject Octopusの名称で“企業向けDropbox”機能の開発を進めてきたが、今回Workspaceの1機能として正式に提供が始まった。許可されていないドメインのユーザーとはファイル共有できないなどのポリシーを適用したうえで、セキュアにファイル共有が行えるという。
タブレットでの表示画面 |
Horizon Viewについては、従来VDIの苦手領域とされていた3Dグラフィックスのパフォーマンス向上を図るためハードウェアアクセラレーションに対応したほか、マイクロソフトのユニファイドコミュニケーション(UC)「Microsoft Lync」をサポートした。また、従来はクライアントへのモジュールのインストールが必須だったが、Webブラウザだけでも仮想デスクトップ環境が利用可能になった。Horizon Mirageに関しては、ドライバー、OS、アプリケーション、ユーザーデータなどのレイヤごとにバックアップ/レストアできるようになり、より簡単に新たなPCや仮想デスクトップ環境への移行作業が行えるようになっているという。
Horizon Suiteの市場予想価格は1ユーザー当たり3万2000円からで、個別製品のみの購入も可能。提供開始は2013年第1四半期中の予定となっている。