iPhone 5でモチベーションアップ
携帯キャリアはどこがいいのか、AndroidかそれともiPhoneなのか――。電話検討委員会ではかなり入念に検討を行ったというが、最終的にKDDIを選択したのは通信エリアの広さや料金などが大きかったという。
佐藤総合計画は、北海道から九州まで全国各地の公共建築を手がけている。このため通信エリアの広さは、とても大切な選定基準になる。実は同社は3~4年前にも一度、会社支給を真剣に検討しており、あるキャリアの携帯電話の採用でほぼ決定していた。だが直前になって、ある地域ではつながりにくいことがそのエリアの支社からの声で分かり、結局そのときは導入自体を取りやめていた。
また、料金もKDDIの提案が最もリーズナブルだったという。今回同社は、法人向けIP電話サービス「KDDI 光ダイレクト」、au携帯とKDDIの固定電話間が定額になる「ビジネス通話定額」、固定サービス等とのセット利用でスマートフォンの月額料金が割引になる「スマートバリュー for Business」もあわせて導入しているが、これらもコスト面で大いに効いた。
総務室の小池大輔氏を中心にまとめられた各キャリアの比較表。料金やサービスなどが徹底的に比較されている |
「運用面を考えて端末は統一することにした」(総務室の小池大輔氏)ため、AndroidとiPhoneのどちらにするかは、所員による投票で決めた。本社内の大会議室に所員を集めて実施した投票の結果は2対1でiPhone。当時、最新機種だったiPhone 4Sに決定するが、また直前で波乱が起こる。iPhone 5が発表されたためだ。
電話検討委員会の中では「iPhone 4Sのままでいいのでは」という意見も多かったという。それをiPhone 5に覆したのは取締役たちだった。「『本当にいいですか、値段は上がりますよ』と言ったのですが、そこは我々の取締役は偉くて、『所員のモチベーションが違ってくるだろ』と」――。経営陣は、世界で最も人気のある最新スマートフォンを貸与することによる“やる気アップ”を期待したのである。
また、iPhone 5への変更は、さらに別の大きな効果ももたらすことになった。LTEとテザリングである。
佐藤総合計画 執行役員 社長室長 笠井隆司氏 | 同 総務室 小池大輔氏 |
「LTEは速度が全然違う」、テザリングでWi-Fiルーターが不要に
KDDIのiPhone 5は、受信時最大75Mbpsのモバイルデータ通信サービス「au 4G LTE」、そして発売当初からテザリング機能に対応している。
佐藤総合計画のクライアントは全国各地に広がるため出張の機会が頻繁で、またやりとりするメールの多くには大容量のCADデータが添付されている。つまり、高速大容量のモバイルデータ通信サービスに対するニーズが大変高いが、その要望にLTEとテザリング機能が応えた。
以前は個人でモバイルWi-Fiルーターを契約して使っていた所員も多かったそうだが、iPhone 5でテザリング機能が使えるようになって、個人契約のほうを解約する所員が続出しているという。笠井氏もその1人だ。「もったいないから解約したというより、むしろ遅いから要らない。LTEは速度が全然違う」とその理由を語る。