欧州の通信業界に関する将来シナリオ――通信事業者は「事実を直視せよ!」

Exane BNP ParibasとArthur D. Littleは、欧州通信業界の共同分析レポートを発表した。本稿では同レポートのサマリーの紹介を通じて欧州通信業界の将来展望を明らかにする。

欧州系の投資会社Exane BNP Paribasとグローバルで経営コンサルティングビジネスを展開するArthur D. Littleでは2002年より、共同で通信業界の現状分析と将来予測を実施している。

業界キーマンへのインタビューを通じて、業界全体が抱える問題意識やこれからのサービスのあるべき姿を明確化するとともに、今後期待されるビジネスモデルや法制度改革の方向性等について独自の見解をまとめた共同分析レポート「Telecom Operators」は、米Wall Street Journal等のメジャーな媒体でも紹介・引用されるなど、欧米においてはその分析内容の先進性、的確さの面で高い評価を獲得している。

本年度は欧州15カ国105の企業・団体等に対してインタビューを実施した(図表1)。従来からの通信事業者に加え、昨今注目を浴びているGoogleなどのOTT(Over the Top)プレーヤーや、BMWやAGFAなどICTを高度に活用して新たな事業にチャレンジしている産業界の主要プレーヤーの見解もカバーしている点が新しい試みとなっている。

図表1 インタビュー対象者の概要
図表1 インタビュー対象者の概要

今回、通信業界関係者に捧げるメッセージは「Let’s face it!」―文字通り「事実を直視せよ!」だ。本レポートの表紙にはレインコートをまとった男性が豪雨にさらされている写真が使われ、今後の通信事業者が直面する事業環境の厳しさを象徴的に表現している。

それでは具体的なトレンド毎に解説を行っていきたい。

月刊テレコミュニケーション2012年8月号から再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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松岡良和(まつおか・よしかず)

世界で最初に設立された経営コンサルティングファームのアーサー・D・リトル・ジャパンで、TIME(Telecommunication/Information Technology/Media/Electronics)プラクティスの日本代表を務める。専門領域は、同分野に対する事業戦略立案、新規事業開発、組織・人事制度改革等。国内最大手システムインテグレーター、会計事務所系コンサルティングファーム、欧州最大手IT・戦略ファームを経て、アーサー・D・リトルに参画

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