NTT東日本とNTT西日本は2012年6月18日、15日付けで新社長に就任した山村雅之社長、村尾和俊社長の就任会見を開催した。
NTT東日本の山村社長はまず、これまでの自身の経験を踏まえ「しっかりとした現場力が我が社を支えていることを痛感しており、“現場主義”が私のモットーになっている」と語った。
NTT東日本・代表取締役社長の山村雅之氏 |
就任に当たって山村社長は、具体的な取り組みとして、(1)光1000万基盤の維持・拡大に向けた取り組み、(2)新たな収益源の開拓、(3)生産性の向上の3点を挙げた。
(1)については、これまでの新規獲得を重視した取り組みに加え、既存の光約1000万ユーザーに継続利用してもらうための取り組みを推進していく。具体的には、今春開始した「にねん割」や、「フレッツ光メンバーズクラブ」のポイント充実、さらに今後提供を予定しているマンション向けライトメニュー等の料金メニューの多様化などに取り組んでいく。
(2)では、電話・光、SIに次ぐ第3の収益源を開拓する。「具体的には、今後詰めていく」方針だが、例として「自治体向けクラウドサービスや料金回収代行といったネットワークを利用した付加価値事業の展開」「不動産の利活用促進」「地図情報事業などのグループ事業の拡大」「全国津々浦々に社員を配置しているポテンシャルを最大限に活かした新たなビジネスモデルの創出」を挙げた。
(3)については、例えば設備面では「NGNへのマイグレーションに伴う旧型設備の更改による設備コストの低廉化」等、営業面では「フレキシブルな営業体制見直し」、社員に対しては「働き方の工夫やスキルの向上による1人ひとりの生産性向上」を挙げている。
NTT東日本は、2010年度は会社発足以来初の増収増益を達成したが、11年度は減収減益になっている。山村社長はこれらの取り組みにより、「是非とも再び増収増益に向かっていきたい」と語った。
ユーザーのライフスタイルを“デザイン”する
NTT西日本の村尾社長は、自身の思い、ミッションとして「光サービスによる新しい文化の創造」を挙げ、「ユーザーのライフスタイルの視点からサービスを“デザイン”していくことが重要」と語り、「これを成し遂げられなければ、増収増益は達成できないので、全力を挙げて取り組むべき課題」と述べた。
NTT西日本・代表取締役社長の村尾和俊氏(テレビ会議画面を撮影) |
光サービスについては、「ユーザーの伸びは従来の力強さがなくなり、モバイル系サービスが急速に伸びている。これと無縁では我々のビジネスは成り立たないので、その架け橋としてWiFiサービスを使ってビジネス展開していく」という。また、テレビについても「光を繋ぎ込むことで、もっともっと多彩なサービスが実現できる」と話した。さらに料金施策にも言及。「今までは西日本地域の競争が激しかったため、さまざまな料金割引を提供してきた。だがこれからは、色んな利用シーンに応じた料金サービスを出していきたい」意向だ。
経営上の課題としては、「安定した財務基盤の確立」を挙げた。特にネットワーク収入ギャップの早期解消が課題とし、「IP収入の増で音声収入の減を補い切れておらず、年間200~300億円のギャップがある。それを早急に解消していかなければならない」と述べた。そのためには、「ライフスタイルを変える新しいサービスを出すことによって、ユーザーから100円、200円の付加価値料金をいただけるようにしなければならない」と言い、「それにチャレンジしていく」方針だ。
成長戦略としては、(1)ARPU向上に向けたサービス創造、(2)ビジネス向けネットワークサービスの強化、(3)クラウドビジネスの着実な拡大を挙げた。
(1)については、新たなサービス開発を自社とアライアンスの両輪で進めていく方針で、「アライアンス推進室」と「ビジネスデザイン推進室」を立ち上げた。
(2)では、営業力強化に向けた体制整備やSIerとの販売連携、「ビジネスイーサ」の提供エリア拡大に取り組む。
(3)については、クラウドサービスの開発・戦略体制を500名体制にしたほか、西日本エリア39拠点のデータセンター、オールインワンネットワークサービス等を活かしたクラウド基盤のさらなる高度化などを推進していく方針だ。