リコージャパンとシスコシステムズは2012年6月5日、通信コミュニケーション分野での協業を発表した。リコージャパンは今年10月から、シスコ製品をベースにしたユニファイドコミュニケーション(UC)ソリューションをクラウドサービスとしてワンストップ提供していく。サービス名称は「リコービジネスインターネットサービス(RBIS)」だ。
リコージャパン 代表取締役 社長執行役員の佐藤邦彦氏は、リコーグループの強みの1つとして「中堅中小企業を中心とした100万事業所以上」の顧客基盤を紹介。一方、シスコはUC分野で世界No.1のシェアを有しており、「互いの強みを補完し、新たな価値を作り出せる」と佐藤氏は語った。100万事業所のうち、50万事業者がRBISのターゲットになるという。
リコージャパンというとドキュメントやITサービスのイメージが強い人もいるだろうが、実は従来から通信コミュニケーション事業は同社の大きな柱の1つになっている。例えばビジネスフォンは約4万事業所、PBXは約1万事業所の顧客基盤を有している。
リコージャパンの通信コミュニケーション事業 |
東日本大震災をきっかけにワークスタイル変革の機運が高まるなか、UCやクラウドに対するニーズは中堅中小企業でも拡大しており、リコージャパンでは2015年度に100億円の売上を今回の協業で目指す計画だ。通信コミュニケーション分野全体では、2015年度に400億円の売上目標を掲げている。
シスコとの協業などにより、2015年度に400億円の売上を目指す |
また、リコージャパンでは今回の協業を機に、通信コミュニケーションの専任営業部門を新設。当初は50人体制でスタートし、2015年度には200名規模に拡充する予定にしている。
従業員100人・2拠点で月額20万円弱
さて、RBISのサービス内容だが、PBX/UC機能については、ビジネスチャットやスマートフォン/携帯電話の内線利用、Web会議、クラウド電話帳など、シスコの最新UCソリューションをクラウド型で利用できる。リコージャパン独自で、アプリケーションを追加していくことも考えているそうだ。
RBISの主な機能と特徴 |
さらに、クラウドとユーザー側拠点をつなぐ回線サービス(IP-VPN)、ルーター、スマートフォンや固定電話などのデバイス群、運用管理もパッケージ化してワンストップ提供する点も特徴だ。リコージャパン 専務執行役員の窪田大介氏は、なかでも日本全国381拠点からのオンサイト運用保守を差別化要素として強調した。
会見ではスマートフォンやiPadなどを活用したRBISのデモも披露された |
気になる料金体系については、「もう少し時間をかけて考えたい」(窪田氏)と具体的には明かされなかったものの、「従業員100人、拠点が2カ所くらいの規模で、月額20万円弱でお届けできると思う」と説明された。
また、同社の試算によれば、PBXを自社で購入する場合と比較して、「初期費用で大体52%、月額費用で28%程度の削減」が可能だという。