バックカメラ(リアカメラ)が普及しても、ドライバーの死角を無くすことはなかなか難しい。大型トラックやバスなら、なおさらだ。
大型車両では左右はもちろん後方についても、バックカメラの映像でも視認できない死角が必ず存在する。そこで、複数のカメラ映像を使って車両周囲の状況がひと目でわかる俯瞰ビューを提供するのがAVM、アラウンドビューモニターだ。
日本鋭明技術のAVMによる俯瞰ビュー。4台のカメラ映像を使って360度映像を表示する
車両の前方、左右、後方に取り付けたカメラの映像を合成して、クルマを真上から見下ろすような映像をドライバーに提供。乗用車でも、事故防止のほか車庫入れや駐車を支援する機能としてAVMが実装されている。
これをトラックやバス向けに提供しているのが、中国の鋭明技術だ。商用車向けドラレコ等で高いシェアを誇る同社の日本法人、日本鋭明技術のブースでは、海外ですでに販売している商用車向けAVMをデモ展示している。
AVMに使用するカメラ
ブースにはタクシー車両を用意し、前方、後方、左右に計4つのカメラを取り付けて俯瞰映像を表示していた。ドライバーが俯瞰映像を直接視認して障害物や人などがいないことを確認するだけでなく、説明員によれば「AIがカメラ映像を解析し、危険を察知した場合はドライバーに警告する機能も備える」。
海外ではすでに多くの導入実績があるが、国内でも近々提供を開始する。現在、バス会社が導入に向けた検証を行っているという。
見分けたいものに応じてAIをカスタマイズ
各種の自動車向け安全装置を手掛けるコシダテックも、画像解析AIを駆使した「センシングアイ」を展示した。
コシダテック「センシングアイ」の表示画面。後方カメラから遠い人物は緑枠、近い人物は黄枠で表示する
カメラ映像を使って、後方・側方の障害物をAIが検知するシステムで、下写真の装置を既存のバックカメラシステムに接続するだけで導入できる簡便さが売りだ。本体装置内の画像認識AIが、人、バイク・自転車、ポールなど障害物の種類を見分け、距離に応じて色・音で警告する。
視野角の広い小型HDカメラ(左)で撮影した映像を本体装置内のAI(右)で解析。映像表示と警告音でドライバーに危険を知らせる
説明員によれば、AIのカスタマイズも可能だ。例えば工場内で利用するケースでは、ヘルメットを被っている人を見分けたい、台車を押している人を検知したい、フォークリフトを検知したいなど様々な要望が寄せられるという。そうした「細かなニーズに合わせてAIをトレーニングし、カスタマイズできる」ことも、センシングアイが好評を博している理由という。
このほかコシダテックでは、バックカメラの死角にある障害物や人を超音波センサーで検知し、ブザー音で警告するトラックソナーも展示している。