日立の新IP-PBX「CX-01」の狙い――スマホもビデオもBCPもこれ1台で

日立製作所からハイブリッド型の新IP-PBXが登場した。スマホ連携、ビデオ会議といった先進機能を備える一方、BCPニーズに応える信頼性にも磨きをかけた「CX-01」で、多様なニーズを取り込む。

「レガシーか、IPか」ではなく、両方の良さを共存させる――。

日立製作所が2月1日から販売を開始したIP-PBX新製品「NETTOWER CX-01(シーエックス・ゼロワン)」。そのコンセプトについて、企業ネットワーク本部IPシステム開発部・部長の竹内公敏氏はそう話す。

同社は従来、レガシー構成も可能なIP-PBX「NETTOWER CX9000IP」と、フルIP型の「IPTOWER-SPシリーズ」の2つの製品を展開してきたが、今回これを統合。CX-01は、レガシー構成にもフルIP構成にも対応するハイブリッド型のIP-PBXだ。加えて、スマートフォンやビデオ会議、業務アプリケーションとの連携など先進的な機能も組み込んだ(図表1)。

図表1 NETTOWER CX-01のコンセプト
図表1 NETTOWER CX-01のコンセプト

開発に当たって重きを置いたのは「レガシーの機能を継承、強化すること」(竹内氏)。従来の電話の良さと使い勝手を変えずに、そのうえでIPの良さを取り込むのが狙いだ。CX-01にラインナップを統合し、日立はこれを核にして企業コミュニケーションに関するあらゆるニーズに応えていく考えだ。

PBX市場は長らく「レガシーか、IPか」で揺れてきた。長期的な視野に立てばIP化、さらにはユニファイドコミュニケーションへと向かう流れは間違いないが、その道を選ぶには、信頼性や電話の使い勝手といったレガシーの良さを犠牲にせざるを得ない場面も少なくなかった。

ユーザー企業も、販売するディーラー/SIerも、もう悩まなくていい――。日立はCX-01で、そうしたメッセージを打ち出していくという。

電話に求められるのは何か

「レガシー重視」の背景には、ニーズの変化がある。引き金は震災と電力問題だ。インターネット電話やSNSが震災発生直後の混乱時に活躍した一方で、専用線やPHSといったレガシー設備も社員の安全確保や事業継続を支えた。今もまだ電力問題が解消しない状況のなか、停電時にもつながる電話の堅牢さが再評価されているという。

電話網とIP網の違いに加え、PBXとサーバーは停電対策の考え方自体がまったく異なる。PBXが一般的に3時間程度の稼動容量を持つ停電用バッテリーを積むのに対し、サーバー用のUPS(無停電電源装置)は、安全にシャットダウンさせることを目的としている。

今では、従来の3時間では足りず、8時間持たせて欲しいといった要求も出てきているという。最後に頼るのは電話――。そうしたライフラインとしての期待が高まるにつれ、竹内氏もレガシー重視の判断に自信を深めているようだ。

さらに、CX-01の設置・導入形態に柔軟性をもたせたこと、省スペース化/省電力化も、こうした要望への対応に貢献しそうだ。CX-01は、自立型と19インチラックへの収容の両方に対応。後者の場合でも、バッテリーキャビネットの据付により、長時間の停電保証が可能だ。

また、部品と設計を見直し、従来比で約40%の省電力化を実現。加えて、業務時間外の電話機への電力供給を止める節電機能も搭載した(図表2)。こうした省電力化は、電力コスト削減に加え、どれだけの停電時間をしのげるのかにも影響する。

図表2 節電モードの運用例
図表2 節電モードの運用例

月刊テレコミュニケーション2012年3月号から再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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