――スマートフォンとタブレット端末の企業利用の現状をどのように見ていますか。
中山 2008年7月に日本にiPhoneが上陸してすぐに、30代のビジネスコンシューマーを中心に一気に広がりました。その一方で、企業に浸透するのかは、実は私にもわからなかったのです。
企業はセキュリティを気にします。スマートフォンはPCに近いもので、社員に配って情報漏えいが起きたら大変なことになる、という声が多かったのは事実です。それが変わったのが1年後、iPhone 3GSでセキュリティが一気に高まりました。その時点で大手の外資系金融機関が営業担当社員にiPhoneを配りました。これがきっかけとなってスマートフォンが企業に浸透し始めました。
西脇 セキュリティの不安を払拭することが最初の課題であることは間違いありません。Windows Phoneは最後発のスマートフォンOSですから、侵入を防ぐ対策や暗号化等、企業が安心して使えるようにセキュリティ機能は初めから担保しています。
加えて、スマートフォンが売れるためによく言われるのはキラーアプリケーション、キラーコンテンツの存在です。企業用途でのそれがOfficeだと思っています。
100%の企業にWordやExcelをお使いいただいており、その膨大な資産が企業活動を支えています。ですから、スマートフォンがOfficeあるいはWindowsと互換性を持っていれば企業向けに大きな波を作っていけると思っています。AndroidやiPhoneが数百円のアプリで何とかOfficeを表示しているのとは違い、我々はソフトメーカーとしてOfficeの表示・操作をしっかりサポートしています。そこを企業に評価いただいて順調な滑り出しをしています。
ソフトバンクモバイル・営業第三本部ビジネス推進統括部・シニアエヴァンジェリストの中山五輪男氏(左)と、日本マイクロソフト・テクニカルソリューションエバンジェリストの西脇資哲氏 |
中山 メールとスケジューラー、Microsoft Exchangeなどのグループウェアとメールの連携もスマートフォン利用の入り口です。iPhoneのユーザー企業は、そこを第一ステップにするケースが圧倒的に多いですね。既存のグループウェアやメールサーバーがちゃんとスマートフォンで使えるのか、トライアルしてから本格導入へ進むという流れになっています。
西脇 昨年はほとんどの企業がパイロット導入しています。今年になって「トライアルしてみよう」という企業はもう遅いくらいだと思います。
中山 トライアルだけで終わってほしくないですね。我々は「スマートフォンらしい使い方を教えてくれ」という相談を受けています。電話+メールとカレンダーだけならガラケーでもいいわけです。今は、スマートフォン専用のサービスやアプリを組み合わせて使う時代に入っています。