KDDIは2012年1月26日、2012年3月期第3四半期決算を発表した。営業収益は前年同期比2.9%増の2兆6454億円、営業利益は同3.3%増の増収増益となった。
KDDI代表取締役社長の田中孝司氏 |
「iPhone 4S」をはじめスマートフォンの販売が好調だったことに加えて、固定通信事業におけるFTTHの増収とネットワークコストの削減が営業利益に大きく貢献した。代表取締役社長の田中孝司氏は「基盤事業の立て直しの完遂に向け、順調な決算」と語った。
移動通信事業は、営業収益が同3.7%増の2兆246億円、営業利益は同6.1%減の3377億円。ラインナップを強化したことで、第3四半期はスマートフォン販売台数が163万台に上り、端末販売台数に占めるスマートフォンの割合は50%に達している。合わせてKDDIが重視するさまざまな指標も改善しており、解約率は過去最低の0.56%と大幅に低下。MNPも9四半期ぶりに純増に転換し、第3四半期は純増数で1位になった。
ラインナップの充実により、スマートフォンの販売比率は50%に |
スマートフォンの拡大に合わせてデータARPUも上昇しており、前年同期比190円増の2510円。一方、音声ARPUは「毎月割」やシンプルコースの影響で同700円減の1960円で、総合ARPUは同510円減の4470円となっている。
固定通信事業は、営業収益が同2.5%増の6765億円、営業利益が同533.1%増の433億円。FTTHの売上が年20%のペースで増加しており、第3四半期は163億円の増収となったうえ、ネットワークコストを118億円削減したことが寄与した。
KDDIは第3四半期決算を受けて通期業績見通しを修正した。スマートフォンの販売が好調であることから、期初予想の400万台から155万台上乗せした555万台とする。これにより、営業収益も期初予想より900億円増収の3兆5500億円に上方修正した。営業利益については音声ARPUの減少による総合ARPUの目標未達などを固定通信事業の増益がカバーする見込みで、期初見通しの4750億円を予定している。