総務省 通信政策特別委員会 公正競争ワーキンググループの第2回会合で意見を述べるNTT、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの担当者(左上から時計回りに、NTT、KDDI、楽天モバイル、ソフトバンク)
総務省 通信政策特別委員会 公正競争ワーキンググループの第2回会合が2024年2月19日に開催された(第1回会合のレポートはこちら)。同ワーキンググループの目的は、NTT法の見直しが議論されるなか、これからの公正競争の確保の在り方を検討することである。
今回の第2回会合では、大手通信事業者4社へのヒアリングが行われ、NTTは「将来的に経営の必要に応じて、NTT東西の統合も選択肢として検討可能になるように見直していただきたい」と主張した。
その根拠として挙げたのは、NTT東西のさらなる効率化の必要性だ。光サービスの純増数が「頭打ちになりつつある」ことなどを背景に、「さらに進んだ効率化、抜本的な効率化をしていく必要がある」という。
また、効率化の観点からは、電気通信設備の自己設置義務、および重要設備の譲渡の認可の見直しもあらためて要望した。NTT東西は、NTT法で「自ら設置する電気通信設備を用いて」業務を営む義務が課せられていることから、他事業者との設備シェアリングなどによる効率化が図れない。加えて、今後、土地・局舎が不要になるエリアも出てくる可能性があることから、重要設備の譲渡についても「一定程度の柔軟性」が必要だとした。
自己設置義務の課題を説明するにあたって、NTTが示したのが岐阜県の光エリア状況。白丸で囲われた部分が未光化エリア。NTTはラストリゾート責務を引き続き担う考えを強調したうえで、オレンジ色部分で光サービスを提供する他事業者の設備を活用できれば、未光化エリアでの光サービス提供を効率化できると説明した
さらに、NTT東西およびNTT持株の業務範囲規制の見直しも求めた。NTT東西は近年、地域産業の活性化に貢献する各種事業に注力している。しかし、電気通信業務以外の事業に制約が課されていることから、子会社などを通じてしか事業が行えず、「ワンストップでお応えできない」とした。「やりたいのは、あくまで非電気通信のところ。地域に貢献できる企業になっていきたい。NTT東西が移動体通信事業やISP事業に進出するつもりはまったくない。ドコモとの統合の考えもまったくない」
NTT持株については、NTT法により現状はNTT持株自身で事業を行うことができない。そのため、研究所の研究成果を事業化する際、立ち上げ時のリスクを自らとって推進できず、「いわゆる死の谷を越えられない」と説明。NTT持株が事業を実施できるように見直しを行い、「ハンズオンで死の谷を越えていけるようにしたい」と述べた。