2024年1月18日、コンシューマー向け音響製品を手掛けるNTTソノリティが記者発表会を開催し、小売や介護・医療などの「現場」に向けてトランシーバーアプリを提供するBONXと組み、音声DXを実現するトランシーバーサービスを開始することを発表した。
左から、NTT代表取締役副社長 川添雄彦氏、NTTソノリティ 代表取締役 坂井博氏、BONX 代表取締役CEO 宮坂貴大氏
冒頭、NTT代表取締役副社長の川添雄彦氏が登壇し、この発表会の背景を説明した。高速・低遅延通信により「限界打破のイノベーション」を目指すIOWN構想は、コミュニケーションを「心と心をつなげる、よりナチュラルなコミュニケーションに進化させる」と話し、それを実現する手段としてBONXとの連携に至ったと述べた。
IOWNによってもたらされるコミュニケーションの進化を語る、NTT 代表取締役副社長の川添雄彦氏
スマホ+アプリで従来型トランシーバーのストレスを解消
宿泊、小売、建設、介護・医療などの現場で働くデスクレスワーカーは国内に4000万人を数えると言われるが、そうした現場のDXは遅れている。特に音声コミュニケーションについては、従来型のトランシーバーが多く利用されており、長時間イヤホンを装着することによる耳の疲れや、重いトランシーバーを複数台持つ負担、外音がうるさい環境での声の聞き取りづらさなどの悩みを抱えているという。
BONXはそうした悩みを解決するためのソリューションを提供している。スマートフォンと専用イヤホンを利用し、インターネットを介して音声コミュニケーションを行うトランシーバーアプリであり、その法人向けサービスが「BONX WORK」だ。
BONX 代表取締役CEOの宮坂貴大氏は、「最も直感的で早い、声というインターフェースでの常時接続を提供する」と語った。BONX WORKは離れていても互いの距離を気にすることなく、複数人と高音質の双方向通話が可能という。セキュリティや安定性も高く、ハンズフリーで通話が可能なことが現場のニーズに合致していると説明。スマホアプリ上の簡単な操作で、グループトークや1対1のプライベートトークに加え、複数グループへの同時発話も可能だ。チャットや文字起こしなど、非リアルタイムのコミュニケーションに役立つ機能も備える。
発表会ではサービスのデモンストレーションが行われた
一方、NTTソノリティは「nwm」のブランドでコンシューマー向けにイヤホンを販売している。NTTの長年の音響研究から生まれた「PSZ(パーソナライズドサウンドゾーン)技術」により、耳をふさがない形状と音漏れの防止を両立したイヤホンは、“耳スピ”の愛称で販売を伸ばしている(参考記事:“音を操る”NTTソノリティの挑戦 独自の音声パーソナライズ技術で“外さないイヤホン”へ|BUSINESS NETWORK)。