OXCに光スイッチを導入し省電力・低遅延化を実現
F5Gネットワークの大きな特徴といえるのが、(2)のオール光化だ。
これを実現する鍵となるのが、光信号の経路変更などを担うOXC(Optical Cross-Connect)への光スイッチ技術の実装である。光スイッチとは、光信号を電気信号へ変換せずに光信号のまま交換処理を行う技術のことだ。
ファーウェイは3年前に光スイッチの開発に着手し、OXCへの実装を実現した。光伝送装置に装着できるボードタイプの「Blade OXC」を主力として展開している(図表の③)。
光スイッチでは、光と電気信号との変換を行わないため、遅延が大幅に減少する。松居氏は「遅延時間が短縮され、かつ固定的になることで、新たなSLA(サービスレベル契約)を提供できる可能性もある」と見る。
また、消費電力も従来のRODAMソリューションと比べて50%に減少し、環境に優しいネットワークが実現できるという。構成がシンプルであるため故障のリスクが減少し、ネットワークの信頼性が高まる点も見逃せないメリットだ。
このほか、F5Gの進化においてファーウェイが導入を円滑に進める上で重要だと考えているのが、(3)の「ユーザー体験の向上」だ。具体的には、ネットワークの管理・運用を容易化することである。「F5Gのネットワークは、通信事業者だけでなく、OTT事業者や一般の企業にも導入される。ITのスキルはあっても光通信の知識を持たない方でも問題なく運用できる、シンプルな操作性を実現する必要がある」(曾氏)。
また、同氏は通信事業者の収益性の観点からも「多くのユーザーに多様なサービスを提供し収益を向上させるには、ネットワークのトラブルへの対応を効率化する必要がある。障害箇所を自動的に特定して、修復できる仕組みを搭載することが重要だ」と話す。
ファーウェイはこうした機能の製品・ソリューションへの実装を開始している。10G PONとWi-Fi 6を組み合わせた高品質FTTHサービスを実現する「PremiumWi-Fi」では、発生が予想される障害の8割に自動的に対処できる機能を提供している(図表の④)。
FTTx向け小型OLT提供 施工が容易な透明ファイバーも
現行の光ネットワークでは、家庭や小規模事業所向けのFTTHサービスが主力として提供されているが、F5Gでは、光ファイバーをより利用者に近いところに引き込み、ユースケースを拡大することが想定されている。
その1つFTTR(Fiber to the Room)では、光回線を住居の部屋にまで引き込むことで、無線及び有線でのギガビットクラスのカバレッジを実現し、4K/8Kビデオや、没入型XRゲームなどのユースケースを可能にする。事業所内の部屋、部署単位で光回線を導入するFTTO(Fiber To The Office)は、ビジネスでのクラウドやAIの活用範囲を広げるのに役立つ(図表の⑤⑥)。
こうしたニーズを見据えて、ファーウェイは小型で使いやすいOLTを提供している。
もう1つ、FTTRやFTTOの展開を進める上で大きな役割を果たすと見られているものに、ファーウェイが新しいソリューションとして力を入れる「透明光ファイバー」がある。
専用の配線ツールと接着剤を使って様々な場所に配線できる「透明光ファイバー」
配線が透明であるため部屋の景観へ与える影響が少なく、壁などに容易に配線できる。伸縮性に優れ折れにくく、熱を加えて壁などに接着させることができるため、施工も容易だ。
新たに配線スペースを確保することが難しい古いビルやマンション等へのFTTR/FTTOの展開には最適なソリューションと言えそうだ。曾氏はFTTR/FTTOの国内展開にも注力し、「光ネットワークをいろいろなところに導入し、通信カバレッジを全体的に広げていきたい」と意気込んでいる。
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