データ活用の重要性が叫ばれて久しいが、日本企業のデータ活用はなかなか進んでいない。ガートナージャパンによると、自社のデータ活用について「全社的に十分な成果を得ている」と回答した企業はわずか2.2%に留まり、ほとんどの企業で全社的な成果を得るまでに至っていない現状が明らかになった。
これに目を向けたのが、データ活用ソリューションを展開するフライウィールだ。日本でのビジネス変革に貢献したいという思いから創業に至った同社。設立は2018年で、今年3月には、KDDIと資本業務提携契約を締結。「データ活用が進んでいないということは、ビジネスとしての伸びしろがあるということ」と同年4月にKDDIからフライウィールに参画した、代表取締役副社長の足立洋祐氏は話す。
フライウィール 代表取締役副社長 足立洋祐氏
不要データを“宝の山”に
フライウィールのコア製品は、データ活用プラットフォーム「Conata(コナタ)」だ。同製品の特徴は、主に3つある。
1つ目は、「素直でない」データを“価値”に変換できる点だ。Webページなどの半構造化データやユーザーレビュー、チャット情報、動画などの非構造化データは、これまで分析に不向きなデータとされてきた。Conataは、こうした情報を構造化して整理する「オントロジー技術」を用いて、分析に適した状態へと成形できるという。「不要なデータが“宝の山”になる。分析用のデータの母数も増えるので、分析結果の精度も高くなる」と足立氏は胸を張る。
2つ目は、アジャイルな開発だ。一般的な分析ツールの場合、データ収集から検証までのプロセスを別々のツールで行っているため、分析に数カ月かかるケースもあるが、Conataには収集から検証まで必要な機能が揃っているため、「数週間で仕上げることができる」という。
3つ目は、オファリング機能だ。これは、おすすめを複数アルゴリズムで提供するレコメンデーションや情報検索を実現する「Discovery」、広告・クーポン配信などの配信管理を行う「Marketing」、データを可視化・解析・予測分析する「Intelligence」、効果測定や情報補完を担う「Measurement」の4つの機能群を指す。ニーズに応じて、これらの機能を組み合わせながら活用できる。
図表1 データ活用、企業間データ連携のイメージ