「5G映像伝送」は2024年春から本格化!?、ソニーはローカル5Gからスタート

映像・放送業界向けソリューションの展示会「Inter BEE 2023」。映像伝送のIP化が加速するなか、注目されるのが5Gを使ったワイヤレス映像伝送だ。ソニーが2024年春の開始に向けて、ローカル5Gを使った無線映像伝送ソリューションを展示。モバイル中継装置「LiveU」はNTTドコモと、ネットワークスライシングの活用を準備中だ。

5Gの特徴を活かして、低遅延な映像伝送を実現するポータブルデバイス――。そんな謳い文句で2024年春にソニーが発売を予定するのが、「リモートプロダクションユニット CBK-RPU7」だ。独自の映像信号処理技術により、画質を損なわず映像データを高効率に圧縮する。

Inter BEE 2023のソニーブースでは、このCBK-RPU7と5Gを組み合わせることで100ミリ秒程度の低遅延でワイヤレス映像伝送を可能にするソリューションを展示した。

「リモートプロダクションユニット CBK-RPU7」

4Kカメラと接続したリモートプロダクションユニット「CBK-RPU7」(写真中の黄色枠のデバイス)。
この装置でエンコードした圧縮データをXperia Pro(緑枠)経由で 放送局や中継車へワイヤレス伝送する

CBK-RPU7自体は上写真のように小型で、機動力を損なわずにライブ制作オペレーションが行えるのが売りだという。同装置でエンコードした映像データを、スマートフォン「Xperia PRO」等を用いたテザリングによって、放送局へと5Gで伝送する。

圧縮率が高く、かつエンコード処理が非常に高速なため、非圧縮のオリジナル映像と比べても品質劣化はほとんどないうえ、映像表示の遅延も知覚できない。ブースの説明員は、放送業界の厳しい要件にも対応できるソリューションだと自信を見せていた。当初は映像・音声のみの伝送が可能だが、ゆくゆくはリターン映像やタリー(記録中のカメラを出演者等に知らせるためのランプ)信号の送受信、カメラのリモートコントロールにも対応する予定という。

5Gによるワイヤレス伝送ソリューションのイメージ

5Gによるワイヤレス伝送ソリューションのイメージ

ただし、安定した映像伝送を行うには上り通信の帯域を確保する必要があるため、説明員によれば「まずはローカル5Gに対応したかたちで提供する」。また、「NTTドコモまたはKDDIが専用回線を貸し出す“プライベート5G”でも使用できる」という。上写真の図表にある「プライベート5G」がそのイメージだ。

このように、ソニーは他のユーザーの影響を受けないプライベートな5G環境とセットでワイヤレス映像伝送ソリューションの提供を開始する計画。一般的なパブリック5Gには、2024年の秋以降に対応する予定という。

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