韓国モバイルビジネス動向ウォッチ[第12回]韓国インチョン空港のNFC実験――スマホでチェックインから出国審査、搭乗ゲート案内まで

モバイル先進国、韓国をウォッチしながら、新しいモバイル関連ビジネスの種を見つけていく本連載。今回はインチョン空港で行われているNFCの先進的なトライアルについてお伝えする。

去る10月13日、韓国・江南でUbivelox(ユビベロックス)社のプライベートコンファレンスが開催された。ユビベロックス社はNFCソリューションの開発を行っている。会場ではNFCを今後どのような分野に応用していくのか、具体的に解説されていたので紹介しよう。

Ubivelox社のプライベートコンファレンスのデモブース。インチョン空港で行われているNFCトライアルの一連の流れを体験することができた
Ubivelox社のプライベートコンファレンスのデモブース。インチョン空港で行われているNFCトライアルの一連の流れを体験することができた

NFCでチェックインや出国審査、買い物などが可能

韓国では周知のように、サムスン電子の「Galaxy S2」を皮切りに、すでにNFCを搭載したスマートフォンが市場に投入されている。現在利用可能なNFCサービスとしては、例えばT-moneyカードなどの交通系決済が挙げられる。

韓国政府は、NFCを次期の重要な輸出戦略の1つと位置づけている。このため、仕様や規格の統一からサービス開発まで積極的に関与しているが、なかでも興味深いのが仁川国際空港(インチョン空港)で実施されているNFCのサービストライアルである。韓国政府、空港公団、関連ベンダーが一体となり、空港での快適な手続きやショッピングをNFCで支援するプロジェクトに取り組んでいる。

それでは、インチョン空港でのNFCトライアルでは具体的にどのようなことが可能なのか。順に見ていくことにしよう。

(1)航空券の購入
まずはNFCで、航空券の購入/決済が可能だ。

(2)チェックイン(搭乗手続き)
チェックインもNFCを使ってチケットレスで行える。航空会社のカウンターでNFCスマートフォンをかざすとチェックインが完了。荷物を預けると、預り証がスマートフォンに送信される。

NFCをかざすとチェックインが行え、さらに荷物の預かり証がスマートフォンに送られてくる
NFCをかざすとチェックインが行え、さらに荷物の預かり証がスマートフォンに送られてくる

(3)パスポートコントロール(出国審査)
インチョン空港でのトライアルでは、NFCはパスポート代わりにもなる。パスポートコントロールでNFCリーダーにスマートフォンをかざすと、本人確認が完了する。

パスポートコントロールもNFCでOK。出国審査完了を示すスタンプがスマートフォンに届く
パスポートコントロールもNFCでOK。出国審査完了を示すスタンプがスマートフォンに届く

(4)免税店などでの支払い
免税店などでの買い物ももちろんNFCスマートフォンで行える。

免税店などでの買い物もNFCで支払い。レシートはスマートフォンに送られてくる
免税店などでの買い物もNFCで支払い。レシートはスマートフォンに送られてくる

(5)搭乗
最後、飛行機への搭乗時のチケット確認もNFCで行ったら、いざフライトである。

最後の搭乗時もNFCで
最後の搭乗時もNFCで

橋本清治(はしもと・せいじ)

IT業界での30年の経験を生かし、某外資系通信機器ベンダー勤務の傍ら、エムアンドエムリサーチを運営。主に海外の通信事情リサーチやベンダーの日本進出の支援を行う。現在は特に韓国のモバイル通信事情を注視している。表面的な事実の調査だけでなく、必要があれば現地調査も行う行動派リサーチャ。“真実は体で確かめる”が身上。コンタクトはinfo@mmrjp.comまで

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