KDDI村山氏「震災でよく分かったのはメールと電話だけでは不十分ということ」――UCサミット2011レポート

「『会社にいなければ仕事ができない』という時代は終わり、従業員満足度と顧客満足度、そして意思決定スピードが向上した」。震災の教訓から、オフィスに縛られない業務環境の実現に取り組んだKDDIの村山敏一氏は2011年9月15日に開催された「UCサミット2011」で、自社の経験をもとに成功のカギと効果を語った。

最も大切なのは「経営者の肝っ玉」

今夏の節電対策のために「サマータイム+在宅勤務」という勤務形態を実践したKDDIでは、この新しい業務環境がすでに本格活用されており、早くもその効果は目に見えるものになっているという。

例えば、社員満足度の向上である。「会社にいなければ仕事ができないという時代は終わり、育児・介護との両立ができるようになった」。顧客満足度も向上した。「営業マンは移動時間や待機時間を有効活用できるようになり、迅速かつ的確な顧客対応が可能になった」。また、タブレットの導入は、営業マンの提案スタイルも変えたそうだ。「顧客の要求に対して、すぐに社内のコンテンツにアクセスして提示できるようになった。また動画による提案も開始し、営業マンのスキルに左右されない提案が可能になった」という。さらに、意思決定スピードが向上したほか、残業代が約12%減るなどのコスト削減効果も出ているとのことだ。

新しい業務環境の導入によりワークスタイルが変わった
新しい業務環境の導入によりワークスタイルが変わった

このように新しい業務環境を実現したKDDIであるが、村山氏が成功の一番のカギとして強調したのは「経営者の肝っ玉」である。「社員がマニュアルや上司の指示を待って行動する会社と、社員に必要な情報を与えて自ら意思決定する行動する会社のどちらが強いかは言うまでもない。もちろん我々が目指すのは後者だ。そういうトップがいる会社は今後伸びていくだろうし、有事の際にも業務継続できると信じている」と講演を締めくくった。

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