スノーピークBSが提案する新たな拠点間コミュニケーション、空間を常時接続する「Conova」の狙い

コロナ禍を経て、Web会議等のビデオコミュニケーションは日常的な業務ツールとなった。会議や商談などで利用する機会が増えたが、ここに“常時接続型”という新たな活用法を提案しているのがスノーピークビジネスソリューションズ。WebRTC技術を基盤に遠隔拠点の空間をつなげる「Conova」で、新たな価値を生み出そうとしている。

カスタマイズ性と接続の安定性・低遅延でSkyWayを採用

Conovaは一般的なオンライン会議ツールとは異なり、オフィス内の誰もがアクセス可能な一角に設置して、始業から終業まで“つなぎっぱなし”で利用することを想定している。始業前に自動的に起動し、就業後には勝手に電源が切れる。この使い方を実現し、かつ、臨場感と没入感を高めるために様々な工夫を凝らしているという。

もともとはスノーピークBSが新拠点を立ち上げる際に、社員が離れ離れになることで生じるコミュニケーションロスを解消したかったのが、Conovaの前身にあたる「INTERACTIVISION」を開発したきっかけだった。WIS事業部 部長の清水崇弘氏によれば、「Web会議でもトライしてみたが、モニターが小さいと監視カメラっぽくなって誰も近づこうとしない」ことから、等身大サイズで人物を投影でき、かつ、人物単位ではなく“空間を共有”できるよう80インチのスクリーンを2面採用した。

WIS事業部 部長 働き方改革エバンジェリストの清水崇弘氏

Conovaで岡崎本社から参加した、WIS事業部 部長 働き方改革エバンジェリストの清水崇弘氏

加えて、没入感を高めるために同氏が欲したのが、「画面全体にカメラの映像を表示したい」という点だ。ZoomやMicrosoft Teams、WebexといったWeb会議はどれも、画面の一部に操作パネルやアイコンが表示される。これが「没入感を作るのに適していなかった」のだ。

そこで、ソフトウェア開発に当たって採用したのが、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)が提供するWebRTC基盤「SkyWay」である。

オンラインと対面の中間に“新たな場”を作る

SkyWayは音声・ビデオ通話等の機能を提供するプラットフォームサービスで、オンラインサービスの開発者がWebサイトやアプリケーションにリアルタイムコミュニケーションを組み込むことができる。コロナ禍でオンラインサービスが社会に浸透するなかで採用例を増やしており、コーセーのリモート接客やベネッセの学習管理アプリ等にも採用されている(参考記事)。

清水氏によれば、「カスタマイズ性が高かった」ことに加えて、常時接続に不可欠な通信の安定性、低遅延性などがSkyWay採用の決め手になったという。

スノーピークBSではこれを岡崎本社(愛知県)や東京本社等で活用するほか、顧客企業に外販。INTERACTIVISIONという当初の名称から、今回、Conovaとしてリブランディングして新たに提供を開始した。すでに、清水建設をはじめとする複数の企業に導入、利用されている。

スノーピークBSは、キャンプ用の椅子やテーブルなどを活用した開放感のあるオフィス空間「キャンピングオフィス」を提案している

ユーザーが最も評価しているのが、異なる拠点で働く社員の「インフォーマルなコミュニケーションに役立っている」(清水建設の導入担当者)ことだ。

Web会議のように参加者や時間を決めて打ち合わせをするのではなく、オフィスの一角で立ち話をする感覚で、異なる拠点にいる社員が気軽にコミュニケーションするのにConovaは適しているという。特に目的がある会話をしなくても、別拠点の様子を伺ったり、挨拶を交わしたりするだけでもいい。気軽に声を掛け合い雑談するなど、空間を共有していないと難しい“触れ合い”を促すことにも使える。

この3年あまりでオンラインコミュニケーションが急速に普及し、テレワーカーがオフィス内で働く人とつながることは当たり前になった。だが、拠点間のコミュニケーションはWeb会議の機会が増えたくらいで、コロナ前とほとんど変わっていない。Conovaはここにイノベーションを起こそうという取り組みであり、従来型のWeb会議と対面コミュニケーションのちょうど中間に当たるものと言えよう。「拠点間の新しいつながり」を模索する取り組みとして注目される。

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